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海外の会社を調査するときは登記局などで決算書が入手できないか検討してみましょう

記事作成日2018/01/30 最終更新日2018/06/05

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最近、着付けのお店の突然の営業停止や格安旅行会社の破産など、多くの消費者が混乱するケースが見られます。混乱した原因は、サービスを提供している会社がなんらかの理由で資金繰りに窮してしまったためではないでしょうか。

一般の消費者は、通常、サービスを提供している会社の財政状態がわからないので、事前に予防手段をとることがなかなかできません。

実はシンガポールでは, 登記局(ACRA)が非上場会社であっても会社の決算書が購入できるサービスを行っております。有料ですが電子申請で購入ができます。筆者はこの原稿の作成中に26シンガポールドル(1ドル83円として2,158円)で購入することができました。

しかも、一定規模の会社は会計監査人の監査報告書付の決算書となっており、一定の信頼をおくことができます。

また、マレーシアでもシンガポールと同様に決算書が購入できた記憶があります(あいまいな情報ですみません)。その一方で、現状、日本では決算書の開示が義務付けられているのは上場会社のみといっても過言ではなく、シンガポールのように一般消費者が中規模小規模会社の決算書を見ることができません。

私見ですが、日本でも中規模・小規模の会社にも会計監査を義務付けるとともに決算書を開示する義務を課してもよいように思います。

シンガポールでは法人税の申告や登記局への決算書の提出の際に会計監査人の監査報告書の添付を求めており、決算書の開示及び決算書の信頼性を担保するように制度上仕組まれています。そうすれば、冒頭に記載したような一般消費者が困るようなことは少なくなるのではないでしょうか。

また、融資をおこなう金融機関も会計監査人の監査報告書がついた決算書を入手できたほうが、より的確な融資の判断ができるでしょう。

少なくとも海外では国によって決算書が開示されていることがありますので、与信調査等の際に調査先企業の決算書が購入できるか検討する価値があります。一度試してみてはいかがでしょうか。