[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は有給休暇引当金についてお話をします。
【有給休暇引当金とは?】
引当金に関する論点の整理(平成21 年9 月8 日企業会計基準委員会)によると、有給休暇引当金について、以下の説明がされています。
「企業と従業員との間の契約により、従業員が有給休暇を消化した場合にも対応する給与を企業が支払うこととなっている場合には、企業は、期末日時点で従業員が将来有給休暇を取る権利を有している部分について債務を負っている。このため、国際的な会計基準では負債に該当するとされている。」
従業員が来期以降有給休暇を申請することによって、企業に経済的な負担が生ずる場合、引当金の要件を満たす限り、引当金として計上すべきものと考えられます。
【具体的には】
一般的に日本でいうところの給与は、有給休暇を取ったとしても事前に決定された給与金額が支払われるため、給与分に有給休暇分が含まれていると解釈できます。
このため、従業員が有給休暇を取ったとしても、企業は追加の給与負担を負わないため、有給休暇引当金の計上は不要となるように思えます。
しかし、企業が退職時に有給休暇を買い取るという定めがある場合、企業は従業員の求めに応じ退職時に追加の支出をすることとなります。その場合は有給休暇引当金を計上する必要があります。
【設例】
ここでは、国際会計基準第19号「従業員給付」に記載されている事例から一部変更して検討します。
(事例)
ある企業は100名の従業員を有し、それぞれが1年において5営業日の有給休暇の権利を付与されている。未利用の有給休暇は、翌年まで繰り越すことができる。有給休暇は、当年度の権利から最初に消化し、次に前年からの繰越残高から消化する(後入先出法)。
2011年12月31日現在未利用の権利の平均は、1従業員につき2日である。
企業は今後も継続すると予想される過去の経験に基づいて、2012年中に92名の従業員は5日以下の有給休暇の消化が予想され、残る8名の従業員は、1名あたり平均6.5日の有給休暇の消化が予想されている。
なお、従業員が有給を消化せず、買い取りを求める確率は30%とする。
平均の日給は2万円とする。
(考えられる引当金の計上額)
2万円×1.5日×8名×30%=72,000円
国際会計基準の考え方として、将来の有給休暇に対する従業員の権利を増加させる勤務を従業員が提供した場合、債務(引当金)が発生するとしています。このため、5営業日を越える6.5日の有給休暇を消化すると予想される8名の従業員に対してのみ、引当金を認識することとなります。
また、退職時に有給休暇が残っていたとしても、買い取りではなく有給休暇の消化を選択することもあるため、本事例では買い取りを求める確率は30%を乗じて引当額を算定しています。
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