今回は、海外駐在員の日本帰国後の賞与への課税についてお話をします。
前提条件
日本法人のシンガポール子会社に勤務していた駐在員が、日本法人へ戻り勤務をすることを前提とする。
××17年3月31日シンガポール子会社へ勤務。××17年4月1日より日本法人勤務という辞令があり、これに添った形で3月31日にシンガポール出国、同日日本へ帰国。
日本法人での給与は、毎月25日にその月(1日から月末まで)の給与が支給。なお、残業代は考慮しない。賞与については、10月から3月末までの評価に基づく賞与が6月10日に支給。
日本での課税
日本の所得税法上は、海外駐在員が帰国すると、帰国した日の翌日から、すなわち×17年4月1日から日本の居住者として扱われます。帰国後最初に支払われる賞与についても、支給時に居住者として扱われるので、日本人であれば全額が課税対象となり、源泉徴収をする必要があります。
シンガポールでの課税
シンガポールでは、3年間連続して居住している場合、シンガポール所得税法上の居住者としてみなされます。シンガポール居住者が受け取るシンガポール法人へ勤務したことによる労働の対価である賞与(国内源泉所得)については課税されることとなります。
駐在員は、3月31日まではシンガポール法人に勤務しており、これに基づく賞与を受け取っているため、シンガポールの所得税法上、賞与までは課税されることとなります。したがって、今回の賞与については、日本とシンガポール両国で課税されてしまいます。
しかし、実務上は、3月の出国時の段階で6月支給分の賞与の金額が未確定のことが多いので、シンガポールでの出国時までの申告において、賞与分を申告できないケースが多く見られます。