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日本帰国後の給与への課税~日本とシンガポールの課税

記事作成日2017/04/24 最終更新日2021/10/13

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海外駐在員の日本帰国後の給与への課税についてお話をします。

前提条件

日本法人のシンガポール子会社に勤務していた駐在員が、日本の法人へ戻り勤務をすることを前提とする。

××16年4月1日から××21年3月31日シンガポール子会社へ勤務していました。

××17年4月1日より日本法人で勤務する辞令を受け取った。しかし、日本での準備もあり、3月22日にシンガポール出国、同日日本へ帰国。その後シンガポールへ戻ることはなかった。

給与は、毎月25日にその(1日から月末まで)の給与が支給。なお、残業代は考慮しない。

日本での課税

日本の所得税法上は、海外駐在員が帰国すると、帰国した日から、すなわち××21年3月22日から日本の居住者として扱われるので、日本人であれば、全世界での所得が日本での課税所得となります。

したがって、帰国後最初に支払われる給与支給分については、給与計算期間に国外勤務分があってもその全額が日本の所得税の課税対象となり、源泉徴収をする必要があります。

シンガポールでの課税

シンガポールでは、183日以上居住している場合、シンガポール所得税法上の居住者としてみなされます。シンガポール居住者が受け取るシンガポール法人へ勤務したことによる労働の対価である給与(国内源泉所得)については課税されることとなります。

駐在員は、3月31日まではシンガポール法人に在籍しており、これに基づく給与をうけとっているため、シンガポールの所得税法上、3月分の給与までは課税されることとなります。

したがって、3月分の給与については、日本とシンガポールの両国で課税されてしまいます。

二重課税への対応

日本の所得税法では、居住者である日本人は、全世界の所得に対して課税されます。一方で、国外で生じた所得について外国の法令で外国所得税の課税対象とされる場合、日本及びその外国の双方で課税が生じることがあります。

このような国際的な二重課税を調整するため、外国税額控除という制度を設けています。これは、日本で納めるべき所得税額からシンガポールで納めた税額を控除できるという制度です。なお、外国税額控除の適用は確定申告の際に一定の書類を添付する必要がある上に、必ず全額が控除できるとは限りません。

詳細はTOMA税理士法人へお問い合わせください。

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