[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、事業所得における国際課税の大原則である、恒久的施設(PE, Permanent establishment)の概念について簡単にご説明します。
【恒久的施設(PE)とは?】
日本のみならず多くの企業は海外でもビジネスを行っており、いわばビジネスに国境がないともいえます。
その反面、税制や課税当局は各国ごとに定められており、その国ごとに課税権があります。
このため、国際的経済活動を円滑に進めるため、各国税務当局で、恒久的施設(PE, Permanent establishment)の概念を定め、国際的に統一した課税ルールを導入し、ビジネスをする会社が混乱しないようにしています。
日本における恒久的施設とは、次の3つの種類に区分されるとしています。
1 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。
2 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。
3 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等。
各国の税務当局は、その国内にPEがあると認定した場合、そのPEが生み出している事業所得に対して課税をします。
【事業の準備活動をしている場合には恒久的施設とは言えない】
海外に拠点を新設する場合は、一定の準備をしてからビジネスを開始するのが通常です。恒久的施設(PE)とは、あくまでも恒久的(Permanent)ですので、準備中のような今後継続して続くかどうかわからない組織体にまで課税をすることはありません。
例えば、単に商品を引き渡すために場所を借りた、情報を収集するためだけに場所を借りたなど、準備的・補助的な性格を持つ活動については、恒久的施設に含めず、課税の対象外としています。
これは、準備段階の企業にも直ちに課税するとなると、進出企業は、課税当局の行き過ぎた課税だと思い、進出を躊躇してしまうためと推測されます。
【Q&A】
(Q1)
PEに関するルールはどこで規定されていますか?
(A1)
国際課税を調整するルールですので、租税条約で定められています。
(Q2)
わが社は日本の会社ですが、シンガポールで建物を賃貸しています。シンガポールでPE認定される要件を満たしますが、コストしか生じていないので、課税所得がなく、納めるべき法人税が無いように思えます。このため、PEについては気にしなくてもよろしいでしょうか?
(A2)
PE課税の詳細(事業所得の計算方法)は、各国の税法によって定められています。シンガポールでは、コストしか発生していない場合でも、親会社などにサービスを提供するために存在しているとして、一定の条件を満たした場合、コストに5%を上乗せした金額を事業所得とみなすルールがあります。このため、その国の税務当局の実際の運用状況も含めて、TOMAグループのような専門家へ確認をする必要があります。
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