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役員給与-日本とシンガポールの違い

記事作成日2015/07/10 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

弊社シンガポール支店でご相談を受けた内容の中から、今回は役員給与の損金不算入について、日本とシンガポールの違いをお話したいと思います。

 

【日本の取り扱い】

日本の法人税における役員報酬の取り扱いについては、会計上(=帳簿記入や決算書作成においては)は費用として認めつつ、税務上(=税金計算)は一定の制限を加えて、その制限の範囲内の金額のみ、損金算入を認めることとしています。

 

税務上一定の制限を加えるのは、役員は、従業員とは異なり、自分の給与の額を自ら決定することができ、役員報酬額の決定を通じて、会社の利益を操作し、租税回避をするおそれがあると考えているためです。

 

実務上は、決算を承認する株主総会で各役員の向こう1年間の報酬額をあらかじめ決定し、そのとおり支給することが多いと思われます。

 

ちなみに国税庁のタックスアンサーで記載されている役員給与の取り扱いは下記のとおりです。

平成19年4月1日以後に開始する各事業年度において、法人が役員に対して支給する給与の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与又は利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。

ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。

(国税庁タックスアンサー 法人税 No.5209 役員に対する給与(平成19年4月1日以後に開始する事業年度分))

 

 

【シンガポールでの取り扱い】

実はシンガポールの所得税法(法人税の扱いも所得税法で規定されています)では役員給与について詳細な定めはありません。

 

しかし、損金の包括的な規定によると、所得に貢献する費用金額については損金として認めており、役員給与もこれにしたがって判断するものとされています(シンガポール所得税法第14条(1))。

 

従って、役員給与は原則全額損金算入されることとなります。

しかし、日本法人の役員も兼任している方は、日本法人に計上する役員給与金額とシンガポール法人に計上する役員給与金額について、それぞれの金額が合理的である理由を用意しておく必要があるかと思われます。

 

私見ですが、シンガポール法人の法人税税率は原則17%(タックスリベート30%引きも実施中)、所得税の最高税率が20%ですので、法人税で支払うか所得税で支払うかで大きな違いが生じにくく、あまり実益のある議論ではないように思います。

 

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