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売上に関する日本基準と国際財務報告基準(IFRS)の考え方 その1

記事作成日2015/09/18 最終更新日2021/06/24

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【はじめに】

今回は、時々ご質問をいただく、会計基準における売上認識の考え方についてご説明します。

【日本の売上に関する基準】

日本では、国際財務報告基準(IFRS)のように、収益認識(=収益認識とは売上の計上日もしくは売上計上ができるできないを決めることです)に関する包括的な会計基準は存在しません。

しかし、企業会計原則において、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」(企業会計原則 第二 損益計算書原則 三 B)とされ、収益の認識は実現主義によることが示されています。

実現主義とは、一般に

① 財貨の移転又は役務の提供の完了(=商品の引渡しやサービスの提供が終了すること)
② ①に対応する対価をもらえることが成立すること(=代金がいただける状態になること)

が要件とされているものと解釈されているのが一般的です。

【国際財務報告基準(IFRS)の売上に関する基準】

国際財務報告基準は収益認識について詳細な定めをおいています。物品の販売を例にすると、以下の要件を全て満たした日に売上を認識することとなっています。

A 物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値が移転していること
B 重要な継続的関与がないこと
C 収益の額を信頼性をもって測定できること
D 経済的便益の流入可能性が高いこと
E 原価の額を信頼性をもって測定できること

【日本と国際財務報告基準の違い】

結論からお話しますと、日本の考え方と国際財務報告基準との間には本質的な相違はないと考えられています。上記の定義も一見異なるようにみえますが

日本基準の①と②の要件は、それぞれ

① 財貨の移転又は役務の提供の完了・・・国際財務報告基準のA・B・E
② ①に対応する対価をもらえることが成立すること・・国際財務報告基準のC・D

に該当すると考えられます。

端的に説明しますと、商品の引渡しが終わり、対価を受領することが両者で合意できたときに売上が計上できることとなります。なお、実務上は商品の引渡しが終わるという解釈について、さまざまな問題が生じています。次回は有償支給を題材にお話いたします。