[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は国際財務報告基準(IFRS)の歴史についてお話をします。
【歴史】
IFRSの歴史は1970年代までさかのぼります。1973年に国際会計基準委員会(IASC、International Accounting Standards Committee)が発足され、IFRSの前身となる国際会計基準の作成が始まりました。
国際会計基準は、各国の会計基準の調和化を目標とし、各国で作成される決算書の比較可能性を高めるというポリシーのもと、9カ国の会計士団体が参加して検討・発表されていきました。しかし、当時は民間の団体が作成していたに過ぎない国際会計基準の影響力は弱かったと言われています。
しかし、ビジネスの国際化が進展するなか、1987年に証券監督者国際機構 (The International Organization of Securities Commissions :IOSCO)がIASCの活動を支持することとなりました。IOSCOは各国の国内証券行政に強制力を持つ証券監督者の国際的な機関であるため、IOSCOが支持する国際会計基準はその影響力を高めていきました。
2001年に国際会計基準委員会(IASC)より改組され、親組織としてIASC Foundation(IASC財団)を設立し、会計基準の開発力の強化を図りました。
IFRSが世界の会計基準の標準として認められたのは、欧州連合(EU)が、EU域内の上場企業に対して、2005年12月期以後、IFRSに基づく連結財務諸表を作成することを義務付けたことと、当時強い影響力をもっていた米国財務会計基準審議会(FASB)が「ノーウォーク合意」によってIASBと協調姿勢を示したことによります。
これにより、各国がIFRSを意識した会計基準の設定及び改訂を行い、現在ではIFRSの適用を要求または容認する国々は120を超えるといわれています。
通常、法律や会計はそれぞれの国が設定主体となるため、その国ごとに異なるルールが定められています。しかし、会計については、どの国でも同じようなルールが導入されている状況といっても過言ではないかもしれません。
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