[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、2017年3月に発表された「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」についてご説明します。
【概要】
本会計基準は、主として法人税、地方法人税、住民税及び事業税に関する会計処理及び開示を定めることを目的としています。
損益計算書に表示される法人税等や貸借対照表に表示される未払法人税等などについて、どのような勘定科目をつかって、仕訳を起票して決算書を作成するかというルールを定めています。
改正前までは、監査保証実務指針第63 号という監査人に適用される監査の基準の一つとして定めていました。
しかし、法人税などは財務諸表に与える重要度が高いことから、会計基準としてルールを定め、決算書の作成者が本会計基準に従って作成するようにしたかったというのが、本会計基準の狙いと考えられます。
このため、今回発表された会計基準は、監査保証実務指針第63 号の内容の変更を意図するものではありません。税金に関する会計処理は、基本的に従前のままと考えていただければ結構です。
【Q&A】
Q1
住民税の均等割は、課税所得に対して課税される税金ではないので、販売費及び一般費として表示されるべきだと思っています。今回の会計基準において、住民税の均等割について、どのように定めていますか?
A1
「法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)は、損益計算書の税引前当期純利益(又は損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示する」(本会計基準第9項)としており、従来どおりの扱いとなっています。
これは、理論的には販売費及び一般管理費として表示すべきという考えは合理的ですが、一般的に均等割の金額は重要性が高くない上に、実務において法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目で表示することが定着していることから、従前と同じ扱いとしています。
Q2
本会計基準では事業所税や固定資産税の会計処理が記載されていません。どのように会計処理をすればよいのでしょうか?
A2
事業所税や固定資産税については、一般的に金額的な重要性が高いとは言えず、営業費用等で会計処理を行っている実務が浸透しており、会計上の取扱いを明らかにする必要性が高くはないことから、本会計基準の適用範囲に含めないこととしています(本基準第26項参照)。結論は、従前と同様の会計処理をすることとなります。
私見ですが、本会計基準は、国際財務報告基準(IFRS)のIAS第12号「法人所得税」(Income Taxes)を意識して作成されていると推測しています。国際財務報告基準は、様々な国や地域で利用されることを前提として開発されており、各国の税制や法令の違いを極力織り込まないように作成されています。このため、重要性が高くなく、かつ、従来からの会計処理の変更を求めない税金については、あえて本会計基準で規定しなかったと考えられます。
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