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ストック・オプションとは?国際財務報告基準(IFRS)によるストック・オプションに関する仕訳は?

記事作成日2017/05/25 最終更新日2017/06/13

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はじめに

今回は、ストック・オプションの会計処理について、国際財務報告基準(IFRS)に従った処理を記載します。なお、シンガポールの会計基準も国際財務報告基準に基づいていますので、同じものだと思っていただいて結構です。

また、私見ですが、日系企業のシンガポール法人でストック・オプションを付与するという事例はあまりみられないのではないでしょうか。

仕訳例

IFRS2号「株式に基づく報酬」の説例を一部修正して説明をします。ここでは、持分決済型の株式※に基づく取引を仮定します。また、勘定科目は便宜的に株式報酬費用と新株予約権を使います。

※企業が自社の資本性金融商品の対価として、財又はサービスを受け取る取引をいいます。具体的には、株式を割安で購入できる権利と引き換えに労働を提供する場合が一般的な例です。

事例

ある企業が500人の従業員それぞれに、100株のストック・オプションを付与する。各々の付与は今後3年間にわたって従業員が勤務を継続することを前提として行われる。企業は1株のストック・オプションの公正価値を15ユーロと見積もっている。

加重平均した確率に基づいて、企業は従業員の20%が3年以内に退職し、ストック・オプションへの権利行使を喪失するものと見積もっている。

しかし、第1年度に20人の従業員が退職する。企業は3年間の退職者の見積を20%(100人)から15%(75人)へと修正をする。第2年度はさらに22人の従業員が退職する。企業は3年間の退職者の見積りを15%から12%(60人)へと修正をする。第3年度にさらに15人の従業員が退職する。したがって、3年間に57人がストック・オプションの権利を喪失し、第3年度の期末時に44,300単位のストック・オプションの権利が確定したこととなる。

(単位:ユーロ)

第1年度

(借)株式報酬費用 212,500        (貸)新株予約権 212,500

500人×100株×(100%-15%)×15ユーロ×1年÷3年

本来は、新株予約権が付与される予定の従業員の労働サービスの価値を仕訳として記入すべきですが、信頼を持って見積もれないため、権利付与時の新株予約権の公正価値(=時価と考えていただいて結構です)をもって、仕訳の金額とします。

第2年度

(借)株式報酬費用 227,500        (貸)新株予約権 227,500

500人×100株×(100%-12%)×15ユーロ×2年÷3年-212,500

退職者の見積りの変更を考慮して、差額で金額を算定します。

第3年度

(借)株式報酬費用 224,500        (貸)新株予約権 224,500

443人×100株×15ユーロ×3年÷3年-212,500-227,500

権利確定時の仕訳です。権利喪失者の分は除いて計算します

3年間にわたって費用計上された株式報酬費用は、664,500ユーロとなり、権利を喪失した57人分のストック・オプションを除いた443人分の株式報酬費用が計上されることとなります。