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シンガポール現地法人・支店の初めての決算

記事作成日2015/12/28 最終更新日2017/04/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回はシンガポールに進出したばかりの企業様向けに、シンガポール法人または支店で検討すべき留意事項を決算に焦点を合わせてご説明します。

 

【設立後最初の決算日を自由に決めることが出来る】

日本法人の場合、定款で定めた事業年度末日が決算日となります。

しかし、シンガポールでは、会社設立から、18ヶ月以内に最初の定時株主総会(決算書の承認を行う株主総会を定時株主総会といいます)を開催すれば、決算日は自由に設定することができます。

このため、12ヶ月未満の決算期間にすることも、また、12ヶ月を超える決算期間とすることも可能です。

実務では、決算に関する手間と費用を節約するため、15ヶ月程度の決算期間とし、決算回数を減らそうとするシンガポール法人を多く見かけます。

ただし、支店を設置した場合は、本店の決算日に合わせる必要があります。このため決算日を自由に設定することは出来ません。

 

【決算に関するコストを減らすとは】

決算を行うに関して、通常以下の費用がかかります。

・法人税計算及び申告費用

・監査費用

・ACRA(シンガポールの登記局です)に決算書を提出する際に必要なXBRL化のためのデータ加工料(支店はかかりません)

上記の費用ですが、大雑把に試算すると日本円で100万円弱程度かかってしまうのではないでしょうか。

設立後最初の決算日を15ヶ月程度の決算期間とすると、決算1回分の費用を節約することが出来ます。

また、費用以外にも監査対応の時間や株主総会関連の議事録の作成などの手間も省けます。

 

【シンガポール法人が上場している親会社や子会社を有している場合】

シンガポール法人の親会社が日本法人で、日本の株式市場に上場している場合や公認会計士または監査法人の監査を受けている場合は、親会社が連結財務諸表を作成する都合上、親会社の決算日と子会社の決算日をあわせることを検討する必要があります。国際財務報告基準では決算日を統一する必要がありますし、日本基準に従った連結財務諸表を作成するとしても、子会社の決算日は親会社の決算日と同じ、もしくは近い日にしています(親会社が3月末、海外子会社が12月末というパターンが多いです)

また、シンガポール法人が子会社を有する場合で最終的な親会社が連結財務諸表を作成・公表していない場合、シンガポール法人が子会社の財務数値も加味した連結財務諸表を作成し、監査を受けなければなりません。このため、シンガポール法人とその子会社の決算日は同じ日にしておく必要があるでしょう。

 

【実務上の注意点】

決算日の決定は、日本では経験をしないことであると同時に、日本と異なり公認会計士もしくは監査法人の監査を受ける可能性が高いため、日本側の経理担当者もしくはシンガポール法人の担当者の一存で決めず、日本法人と協議して決定することをお薦めします。

シンガポールの会計事務所から、決算日をいつにしますかというお尋ねがあるかと思います。しかし、そのお尋ねに対して軽率な対応をした結果、後々面倒なことが発生するケースを見ます。

設立から最初の決算までは、会計事務所等のアドバイスをしっかり受けて慎重な決定をされることをお薦めします。

 

 

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