はじめに
今回は毎年4月中旬に申告期限を迎えるシンガポールの個人所得税の申告についてお話をします。本ブログでも過去取り上げているテーマですが、問い合わせが多いことから、再度掲載をします。
2016年の申告期限
シンガポール税務当局のウエブサイトによると、2015年1月1日から同年12月31日までの所得について、2016年4月15日(申告書を紙で提出する場合)もしくは18日まで(電子申告する場合)に申告をしなければなりません。
申告すべき主な所得内容 従業員の住宅が会社から支給されている場合
日本人駐在員の場合、シンガポール法人もしくはシンガポール支店、駐在員事務所に勤務したことにより得られる給与・賞与に対して課税されます。
また、勤め先の会社等が住宅の家賃を負担している場合には、住宅に住んでいる申告者が経済的利益を得ているものとみなされ、現物給与として課税の対象となります。
お問い合わせ事例として、シンガポール税務当局から届いた納税通知(いつまでにいくら納税すべきか、また、その支払い方法が記載されている通知)をみて、予想以上の納税額が記載されていることにびっくりされた方がいらっしゃいました。
予想以上の税額となる主な原因は、上記の住宅家賃に係る課税が原因となっているケースが多いのです。私見ですが、所得総額のうち25%から35%程度が住宅家賃の現物給与に関する所得となっているのではないでしょうか。
申告すべき主な所得内容 教育費の負担
また、駐在員の方に多く見られるのですが、会社が子女の教育費を負担しているケースもあります。このようなケースでは、会社が負担している教育費についても、申告者が経済的利益を得ているものとみなされ、現物給与として課税の対象となります。
給与・賞与からの源泉徴収がない。納税資金の確保をする必要がある。
日本では、勤務先の法人が、給与や賞与の支給時に、所得税や住民税分を差し引いて(これれを源泉徴収といいます)支給しています。
しかし、シンガポールでは、原則年に1回、まとめて所得税を納付する制度となっています(なお、住民税はありません)。このため、シンガポール税務当局から納税通知が届いたときに納税資金がないという方もいらっしゃいます。特に若い方に多く見られます。
これを避けるためには、普段から納税資金の確保をしておく必要があります。しかし、初めてシンガポールで勤務する従業員の方は、税金の支払いを一括で求められることを知らないことが多いので、日本親会社もしくはベテランの従業員の方から、事前にその旨を伝えておく必要があるでしょう。