もうそろそろ個人所得税の申告シーズンに入ります。今回はシンガポールの申告時に作成するIR8AとIR21について簡単に説明をします。
IR8Aとは?
IR8Aとは、シンガポール法人が発行する書類で、従業員に対して支給した給与・賞与金額などが記載されたものをいいます。日本における源泉徴収票に似ています。
IR8Aは個人所得税の申告書そのものではありません。申告すべき従業員等はIR8Aに基づいて給与所得等を把握して、FormB1という個人所得税の申告書にIR8Aに記載されている所得を転記して申告書を作成します。
シンガポール法人の雇用者は、9人以上の従業員を雇用している等の場合、AIS(Auto-Inclusion Scheme )によってIR8Aを発行しなければなりません。詳細は下記のサイトをご確認ください。なお、AISによるIR8Aの提出期限は3月1日までとなっております。この情報は、シンガポール税務当局へ自動的に送信され、納税者はWeb上で申告書を作成する際に自動的に所得情報が申告書に記載されることとなります。
IR21とは?
シンガポール人以外の従業員が、シンガポール法人を退社する場合、IR21という書類をシンガポール税務当局(IRAS)へ提出して、最後の個人所得税の申告及び納税を行う必要があります。通常、就労ビザのキャンセル手続と平行して行います。
通常、個人所得税の申告及び納税の義務は各従業員に課されていますが、IR21の申告と納税はシンガポール法人に義務を課しており、シンガポール法人が従業員の最後の個人所得税の納税を担保するといった仕組みとなっています。
IR21の提出期限は、退職日の1ヶ月前までとされていますが、実務上は突然の退職といったケースや日本の帰任が急遽決まるといった例もあります。このような場合は、IR21の提出・納税手続きや就労ビザのキャンセル手続のタイミングについては注意を要します。例えば、IR21を提出後所得税の納税前にシンガポールから出国する場合、出国時に出国審査で呼び止められる可能性があります。詳細は、弊社をはじめとしたシンガポールの会計事務所へお問い合わせください。
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