【はじめに】
今回も最近ご相談いただいた内容のうち、シンガポール出向者からよく頂くご質問を取り上げました。
【よくあるご質問内容】
当社(日本法人)はシンガポールに子会社を設立して1年目です。現在、現地従業員は日本法人からの日本人駐在員1名のみです。アメリカの子会社では駐在員は現地の社会保険に入っているとの話をききましたが、シンガポール駐在員は現地の社会保険に加入する必要があるのでしょうか?
【まず日本の社会保険の扱いから】
シンガポール出向者の多くの方は日本法人との雇用契約を継続したままシンガポール法人へ出向を命じられています。このような場合、日本法人からも給与の一部が支給されていれば、海外に勤務していたとしても日本の健康保険・厚生年金保険・雇用保険等の加入者としての資格は継続します。このため、海外勤務であったとしても日本において社会保険料を支払う必要があります。
ただし介護保険については海外居住者(日本国内に住所又は居所を有さない人)であれば事前に届けを提出することによって免除されます。なお、本人が海外勤務する場合でも40歳から64歳の家族(健保被扶養者)が日本に居住する場合、保険料は免除されませんのでご注意ください。
【シンガポールの社会保険の加入の可否】※以下1SGD90円程度で記載(※注、執筆時点)
では海外勤務者はシンガポールの社会保険に加入する必要があるのでしょうか。結論から申し上げますと、駐在員のようにシンガポール永住者に該当しない方はシンガポールの社会保険の加入義務はありません。
しかし、シンガポールではSDL(Skill Development Levy)という税金を支払う必要があります。上限は毎月一人SGD11.25です。厳密に言うと社会保険ではないのですが、支払義務が課されている点では同じですので、注意が必要です。
なお、シンガポール人またはシンガポール永住権保有者を雇用した場合は、年金制度に相当するCPFに加入しなければなりません。CPFは原則として給与支給額の本人負担20%、会社負担16%の合計で給与支給額の36%を納める必要があります。
【海外旅行保険】
日本人の駐在員をシンガポール法人へ出向させる前に海外旅行保険に加入するケースを多く見ます。海外旅行保険に加入すると現金不要で治療が受けられるなどの利点があります。しかし、一般的に持病や歯の治療・出産費用は対象外となることが多いです。この点は保険契約の内容を確認する必要があります。
(参考文献)
海外勤務者の税務と社会保険・給与Q&A 藤井恵著
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