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キャッシュ・フロー計算書とは? その5 日本基準と国際財務報告基準(IFRS)との違いと改正論点の紹介 Statement of Cash Flows Part 5

記事作成日2016/08/24 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回も、キャッシュ・フロー計算書に関する内容をお話します。キャッシュ・フローの連載の最終回です。

 

【日本基準と国際財務報告基準(IFRS)との差異】

キャッシュ・フロー計算書の会計基準について、大きな点については差異が見られないのですが、若干差異がある箇所もあります。

 

A 受取利息や受取配当金、支払利息や支払配当金の表示

日本基準では、下記の2つの方法のうちいずれかを選択することとなります。なお、選択した方法は、毎期継続して適用することとなります。(連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針 第11項)。実務上は、(パターン1)を選択しています。

 

(パターン1)

受取利息、受取配当金及び支払利息は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、支払配当金は「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する方法

(パターン2)

受取利息及び受取配当金は、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、支払利息及び支払配当金は「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する方法

 

これに対して、国際財務報告基準は、受取利息、受取配当金及び支払利息、支払配当金のそれぞれについて、それぞれ別の区分に計上することも可能となっています。このため、日本基準よりも選択の幅が広くなっています。

 

B 営業活動によるキャッシュ・フローの最初の記載を税引前当期純利益から始めるか否か

日本基準では、税金等調整前当期純利益から開始して営業活動によるキャッシュ・フローの金額を求めますが、国際財務報告基準では税引後純利益から開始しているケースも見られます。

 

C 非継続事業に関する扱い

国際財務報告基準では、将来のキャッシュ・フローの見積りに資するために、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループや非継続事業から生じた損益については、貸借対照表や損益計算書上、区分表示するように求めています(国際財務報告基準第5号 Non-current Assets Held for Sale and Discontinued Operations)。

この考えに基づくと、非継続事業に係る営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローを表示させる必要があります。

 

これに対して日本基準ではこのような取り決めはありません。

 

 

【キャッシュ・フロー計算書に関する国際財務報告基準(IFRS)の改正情報】

国際会計基準第7号について一部が改正され、2017年1月1日以降開始される事業年度から適用しなければなりません。

改正内容は、金融負債の変動に関する情報の開示を新たに要求するものです。

大掛かりな改正ではないので、あまり気になる内容ではないかと思います。

 

IFRSのウエブサイトでは下記のように紹介されています。

 

Amendments to IAS 7

The objective of the amendments is to enable users of financial statements to evaluate changes in liabilities arising from financing activities.

 

The amendments will require entities to provide disclosures that enable investors to evaluate changes in liabilities arising from financing activities, including changes arising from cash flows and non-cash changes.

 

The amendments to IAS 7 respond to investors’ requests for information that helps them better understand changes in an entity’s debt, which is important to their analysis of financial statements. These amendments are mandatory for annual periods beginning on or after 1 January 2017.

 

詳細は下記をご覧ください。

http://www.ifrs.org/Current-Projects/IASB-Projects/Debt-disclosures/Pages/Home.aspx

 

 

 

 

 

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