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シンガポールのビザ取得についての基礎知識

記事作成日2017/11/13 最終更新日2018/01/05

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記事の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。

はじめに

今回はシンガポールを訪れる際に気になるビザ取得について簡単にお話をします。

旅行等でシンガポールを訪れる場合

日本のパスポートを持っている方は、レジャーや商用を目的としたシンガポールの入国に関して、ビザの申請は必要ありません。また、アメリカのESTAのように事前の情報登録も必要ありません。但し、パスポートの残存有効期間はシンガポール入国時より最低6ヶ月必要となっています。

筆者の経験談ですが、私の家族が日本→シンガポール→マレーシア→シンガポール→日本と旅行したケースで、マレーシア→シンガポールの入国審査時に、帰りの航空機の便名と日にちを教えてくれなどの要求をされていました。おそらく、ビザなしでのシンガポール滞在期限は原則30日間ですので、その点を意識した要求だと推測されます。

また、ビザなしで何回もシンガポールに入国していると、入国の目的を尋ねられることがあります。筆者の息子は親に会うためにシンガポールへ入国していましたが、1回呼び止められた経験がありました。筆者の名刺を見せて説明をしたところ、無事解放されました。

シンガポールで就労する場合

シンガポールの法人等で就労する場合、言いかえれば、シンガポールの法人や支店で雇われて働く場合は、いわゆる就労ビザの取得が必要となります。

日本人が取得する就労ビザは、

・Employment Pass
・S Pass

があります。

なお、別途Work Permit という就労ビザもありますが、日本人が取得している事例を見かけません。このビザは、申請者の国籍や勤務する会社の業種に制約があり、日本人に対しては発行されていないものと推測されます。

また、アメリカのビザ取得のように面接が行われることはなく、書面で審査されます。シンガポールでの勤務決定後、シンガポール就労前にビザ申請をします。なお、就労ビザが取得できない、あるいは、更新できない場合は、シンガポールでの就労ができなくなります。

自ら事業を始める方のビザについては別途ご相談ください。

Employment Passについて

シンガポール法人を設立して最初に派遣される駐在員や、管理職・役員での雇用を想定される就労者は、Employment Passを申請します。

申請後承認がされれば、シンガポールを訪れてシンガポール労働省に出向き、一定の手続きをすることによって就労ビザが渡されます。

最初の申請では最大2年間、更新時は最大3年間のEmployment Passが支給されます。なお、雇用される会社が日本人などの外国人が多いなど一定の事情がある場合には、ビザの有効期限が短縮されているケースもあります。

S Passについて

中級程度のスキルを持っている労働者を対象にS Passという就労ビザが支給されていることがあります。

この就労ビザの特徴は、サービス業であればシンガポール法人の全従業員の15%に相当する人数分、また、その他の業種であればシンガポール法人の全従業員の20%に相当する人数分まで、シンガポール労働省はS Passを支給する用意があるとしています。

このため、一定数のシンガポール人(外国人でも永住権を有している人も含めることができます)を雇用している必要があります。