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パーパス経営と人材確保について

記事作成日2023/11/13 最終更新日2023/11/13

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みなさま、"グレート・レジグネーション"という言葉をご存知でしょうか。欧米で流行しているビジネス用語で、「大離職時代」を指します。コロナ禍、コロナ明けのウィズコロナの影響もあり、近年その傾向が強くなり、社会問題にもなっています。ではこの大離職時代に中小企業はどのような施策を打っていくべきなのか、この記事では、そのうちの一つであるパーパス経営について解説いたします。

グレート・レジグネーション

現在欧米で起こっているグレート・レジグネーションの特徴としては人員整理、解雇ではなく、自らの意思で退職する人々が過去に類を見ない規模で増大している点があります。また、その理由としては大きく5つあると言われています。

・リモートワークの影響
・景気回復に伴う売手市場の変化
・燃え尽き症候群(バーンアウト)の増加
・価値観の変化
・社員のエンゲージメントの低下

では、日本ではどのようになっているかと言えば、現状では欧米ほど深刻化はしていません。それは、元々正社員の転職率自体が低いこと(雇用の流動性が低い)と、まだまだ経済が回復していないという理由が主にあります。しかし、今後は欧米のように仕事に対する価値観は変化し、自主的に退職する人材は増え、今以上の売り手市場になると言われています。

そのため企業は今以上に社員がもつ価値観に訴求する施策を打たなければ、雇用の維持はもとより優秀な人材の採用も難しくなります。では、どのような施策が必要になるのか?その一つは「意義化する経営」です。

意義化する経営

意義化する経営とはどういうことか。簡単にいえば「何のために存在しているのか」の問いに対する答えです。それを一言でパーパス(存在意義)という言葉で表せることもできます。

なぜその企業は社会に存在する必要があるのか(パーパス)、その企業はどこを目指すのか(ビジョン)、何を行うのか(ミッション)、どのように実現するのか(バリュー)などを明確に定義づけし、社会の課題や問題解決に貢献することを意義化する経営と言われています。

株主資本主義だった時代では、企業の存在意義は「利益の確保と配分」でした。しかし、現在の社会情勢を鑑みると地球環境への配慮、人種・性別への配慮、SDGs(持続可能な開発目標)などの利益追求以外の価値創造が求められるようになりました。

つまり、これからの企業経営は自社の存在意義に立ち返り、社会的価値をひとつの財産として考えて、それを追求する姿勢が必要になりました。

中小企業とパーパス

パーパスとは聞いたことあるけど大企業だけがやることでしょ。そう考える中小企業経営者の方はよくいますが、中小企業だからこそ、その価値を見出して表に出さなければ、優秀な人材の確保は難しいと言われます。反対に、パーパスを確立すれば、それに共感した優秀な人材が、福利厚生や給与といった待遇を考えずとも集まってくれます。

また、近年ではパーパスを明確にしない企業は生き残れないとまで言われています。これは、ミレニアル世代(1981年以降に生まれ2000年以降に成人を迎えた世代)の台頭が理由として挙げられます。ミレニアル世代は、自らの価値観と会社の掲げるパーパスとの合致を重視する傾向を持ちます。

そして2025年にはミレニアル世代が世界の労働人口の75%を占めるといわれております。さらに、近年ではZ世代と言われる新しい世代が台頭し、より、パーパス経営重視が加速しています。中小企業だからこそ、今一度、パーパスについて深く考えてみましょう。

TOMAコンサルタンツグループはパーパス経営について数多くの企業のサポートを行って参りました。パーパス経営、人的資本経営等のお悩みは実績のあるTOMAコンサルタンツグループへご連絡ください。

※参考
吉田寿 著、岩本隆 著「企業価値創造を実現する人的資本経営」(日本経済新聞出版)