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ミッション、ビジョンが会社の成長エンジンとなる

記事作成日2020/12/25 最終更新日2023/09/22

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ミッション(目的)やビジョン(目標)を明確にすることは、会社の永続的な発展にとって必要不可欠です。今回はミッション、ビジョンとは何か、なぜ企業にとって必要なのか、どのように作れば良いのかについて解説します。

会社を発展させるためにミッション、ビジョンを作る

会社を経営していると、さまざまな思いが生まれます。

「経営者の想いを社員に浸透させたい」
「やりがいを持って働いて欲しい」
「もっと会社を大きく発展させたい」
「帰属意識を高め、離職率を下げたい」

企業文化を醸成し、社員一人ひとりが会社を発展させるために尽力できる環境づくりの柱となるのがミッションやビジョンです。ところが、ミッション、ビジョンがない企業や、なんとなく雰囲気の良い言葉を並べただけの企業、実際の業務と乖離しており、ただのお飾りになってしまい効果を十分に得られていない企業も多いようです。

ミッションとビジョンの違いを理解できていないというケースも見受けられます。今回は、ミッションとビジョンとは何かからていねいに解説したいと思います。

会社の使命を表す「ミッション」

ミッションとは、自社がどのような目的や使命を掲げて社会に存在しているのか、企業の存在価値そのものを表した言葉です。企業が存在する上で最も重要な核となるものですから、経営者はもちろん、正社員、パート・アルバイトも働く社員全員が理解していなければいけません。

もし、企業にミッション(目的)がない、社員が理解していない状況であれば、それぞれが己の信念で勝手に行動してしまいます。社員全員が一丸となって大きな力を発揮するためにもミッションは必要なのです。

また、ミッションを決めることは日々の仕事に「目的」を与えることとなり、社員が「やりがい」を感じながら仕事に臨めるようになります。

例えば、オフィスの掃除が例として挙げられます。何の目的もなく、ただ「社内ルールだから」という理由で行っていると掃除が雑になったり、愚痴や不満が発生する原因にもなります。これが「お客様第一主義」というミッション(目的)を掲げている会社であれば、掃除はただの作業ではなくなります。掃除は「お客様に快適な空間を提供する」大切な仕事になります。

・電話をワンコールで取るのは、お客様の要請に素早く、適切に対応して喜んでもらうため。
・必死に営業をかけるのは、自社の商品を使ってお客様に満足してもらうため。
・大きな声で挨拶をするのは、お客様への好意や感謝の気持ちを伝えるため。

このように業務のすべてがミッション(目的)に結びつけて説明できるようになれば仕事は作業ではなくなります。
お客様第一というミッションを掲げた場合

やりがいを感じながら、明確な目的意識を持って仕事に臨んでいれば、それは顧客にも伝わります。活き活きと働く姿は、顧客満足を上げることにもつながるのです。

目先の目標ではなく、大きな目的を意識して働くようになると、大所高所から物事を把握できるようになるため、視野が広がり適切な判断が可能になります。このようにミッションを作ることは、社員の意識を変えるきっかけになるのです。

ミッションはどのように作るのか

では、ミッションはどのようにして作れば良いのでしょうか。「ミッションはこう作らなければならない」という決まりはありません。しかし、作る上でのポイントはあります。以下の点について注意をしてください。

まず、ミッションは「企業の存在価値を言語化したものであり、全社員が心に刻んで業務に取り組まねばならないもの」です。そして、もう一つ念頭に置いておかねばならないのが「行動に結びつくもの」でなければならないという点です。

綺麗な言葉を並べただけで内容が伴っていない、自社の事業とミッションが結びつかないようなお題目では、意味がありません。目の前にある自社の事業を突き詰めた先にある理想像がミッションでなければならないのです。

ミッションを構成する4つの要素

では、行動に結びつくミッションを作るにはどうすれば良いのか。
それは以下の4つの構成要素を抑えられているかどうかで確認できます

(1)どのような外部環境の中で
(2)どのような事業領域において
(3)誰に対して
(4)どのような価値を提供するか

(1)どのような外部環境の中で

外部環境とは、自社の事業を取り巻く、自社の努力では大きく変えることのできない外部要因のことです。例えば、法律がどう変わるか、人口の増減、需要がどう変わるか、競合他社の動きなどが外部環境となります。

ミッションは毎年更新されるものではありません。現在から未来にかけて世の中がどう動くかどうかも考える必要があります。1つのエリアに数店舗展開している飲食店が日本全国に商圏を広げたいと考えている場合、「日本中の人に当店の自慢の料理を届けたい」というように将来の理想像を掲げると良いでしょう。

(2)どのような事業領域において

自社がどんな事業を行うのかも明確にします。現在取り組んでいる事業はもちろんですが、ミッションはこれから参入予定の事業や目標も設定します。

(3)誰に対して

事業の対象であるお客様に喜んでもらうことは当たり前ですが、事業を続けていくことによってエリアの地域社会にどう貢献できるか、ステークホルダーとのリレーションシップなども盛り込みます。近年では、SDGsのどの項目へ貢献できるかというのもポイントでしょう。

(4)どのような価値を提供するか

自社の商品・サービスがもたらす価値だけでなく、その過程における価値提供にも触れることが大切です。例えば、コーヒーショップであればコーヒーという商品の価値だけでなく、コーヒーを飲む心地よい場所の提供、美味しいコーヒーを飲むことによって得られるリラックスできる時間などです。顧客満足が高い状態を維持できればリピーターが増え、経営が安定するでしょう。
ミッションの構成要素

実際にミッションを作る際には、まず自社の業務内容を鑑みて4つの構成要素について書き出します。最初はまとまった綺麗な文章でなくても大丈夫です。思いついたことをどんどん言語化していきます。

4つの要素についての書き出しが完了したら、次はそれぞれの項目からキーワードと成りそうな言葉を選びます。核となる言葉をつなぎ合わせて文章化すればミッションが完成します。作り方はシンプルですが、ミッションは一度掲げたら自社の柱となる大切なものですから言葉選びは慎重に推敲を重ねましょう。

簡単に注意すべき点を列挙します。

言葉選びの注意点

その1.肯定的な言葉を選ぶ

「〜をしない。〜は許さない。〜を阻止する」と言ったような否定形なワードは気持ちを後ろ向きにさせる働きがあります。学校のテストで95点を取った子どもに「なんで100点が取れないんだ。もっと勉強しなさい!」と叱るのと、「あと5点で100点だったね。次こそ満点取れるように頑張ろう!」と声かけるのでは全く印象が異なります。あなたはどちらがやる気になるでしょうか?

その2.わかりやすい言葉を選ぶ

融通無碍、鎧袖一触など小難しい熟語などを用いてミッションを表現しても、辞書を引かねば意味がわからない、引いても意味がわからないようでは意味がありません。ミッションはただでさえ現場に浸透しにくいのに、読んですぐに理解できる言葉でなければ浸透は一層困難になります。

その3.達成可能かどうか

あまりに現実離れした目的は目的になりません。経営者は目的を大きく設定したいと考えるかもしれません。しかし、社員は「そんなの無理」と最初から否定的なりミッションを作ることで逆にモチベーションを下げるリスクもあります。

その4.顧客やステークホルダー、取引先に配慮しているか

ミッションは内部の人間だけでなく、顧客など外部の人が目にする可能性もあります。「売上を伸ばし、社員の幸せが第一」なんてミッションをお客様が目にしたらどうでしょう。「売上のために変な商品を買わされるかもしれない」、「騙されているかもしれない」と懐疑的になってしまうでしょう。自社はもちろん、外部に対して発信しても自信を持ってアピールできるくらいの言葉を選びましょう。

その5.差別化できているか

誰も聞いたことのないような、奇抜なワードである必要はありませんが、同業他社と比較して自社の特徴がしっかりと表現できているかどうかも大切なポイントです。

抽象的すぎると、結局何をすれば良いのかわからず、行動に結びつかなくなってしまいます。かといって具体的すぎると事業領域、提供する価値、ターゲットが限定的になりすぎて広がりのないミッションになってしまいますから注意が必要です。
言葉を選ぶ際の注意点

以上、これからミッションを策定する企業はこれらのポイントを抑えて作成しましょう。すでにミッションがある企業も4つのポイントが抑えられているかどうかを再確認してみると良いでしょう。

自社に合うミッションパターンを探る

ミッションには短いコピーでまとめた「メッセージ型」、10行程度の短文を連ねた「短文型」、20行以上の文章でまとめる「長文型」、端的な言葉を連ねる「箇条書き型」などのパターンが存在します。どれが正解で、どれがダメということはなく、自社のミッションに合う形の物を選べば問題ありません。

ミッションを自社内で利用するだけでなく、社外へのアピールにも使いたい場合は、メッセージ型の方がわかりやすいのでオススメです。

TOMAコンサルタンツグループの経営理念を例に説明します。

『明るく・楽しく・元気に・前向き』なTOMAコンサルタンツグループは
本物の一流専門家集団として 社員・家族とお客様と

共に成長・発展し 
共に幸せになり
共に地球に貢献します。

『明るく・楽しく・元気に・前向き』が「提供価値」、一流専門家集団が「事業領域」
社員・家族とお客様が「誰に対して」、成長・発展、幸せが「提供価値」、地球が「外部環境」を表しています。
TOMAの経営理念

会社の理想像を表す「ビジョン」

ミッションは企業の目指す目的、社会における存在価値だと述べましたが、ではビジョンとは一体何なのでしょうか。

ビジョンとは、ミッションを達成するための具体的な計画です。ミッションが定性的であるのに比べ、ビジョンは定量的な目標を掲げます。どれだけ崇高なミッションを掲げても、企業は売り上げが伴わなければ存続できません。しっかりと結果を残し、ミッション達成への道しるべとなるのがビジョンの役割です。
ミッション・ビジョン

例えるならば、日本からアメリカを目指して船を出したとします。アメリカに到達することがミッションだとすると、アメリカに到達するまで手段がビジョンです。それは航海術かもしれませんし、地図やコンパスといったアイテムかもしれません。

船を動かしてくれる船員が足りなくなれば(離職する社員が増えれば)、船は動かなくなり途中で止まってしまいます。船員のエネルギーとなる食料(売り上げ)がなくなっても船は動きません。天候や海流、氷山の有無など外部の情報を的確に得られていない場合、途中で沈没(倒産)する可能性だってあるわけです。
ミッションとビジョンの違い

では、具体的にビジョンとはどのようなものを掲げるのでしょうか。

●売上高

もっともわかりやすいのは売上です。「5年後の売上額はいくらか?」、「年商は?」、「月商は?」、「一人当たりの目標売上は?」といったように、数年後の大まかな目標設定から日々更新される一人当たりの売上までさまざまな基準で設定できます。

●店舗数

小売店や飲食店の場合は店舗数も具体的でわかりやすいでしょう。「5年後までに何店舗増やすのか?」、「どのエリアに進出するのか?」、「業界シェア何%を獲得」などで中期計画を立てることができます。当然、増やした店舗ごとの売上目標を設定するのもいいでしょう。

●顧客数・商品数

「お客様数●名増/年」、「新規顧客●件獲得/月」、「既存顧客のクロスセル●%/週」など。このように、ビジョンとは日々の業務の中でどんな成果を上げれば、ミッション(目的)を達成できるのかを示す指標です。例えば、あるメーカーが「世界中に自社商品のファンを作る」というミッションを掲げても、数百人〜千人規模の社員がいると、現場はまったく実感がわきません。

ビジョンによる、段階的な目標設定があると「今この仕事を頑張ることが『世界中に自社商品のファンを作る』という理想像に近づくのだ」という実感に繋がります。

ビジョンの例

ビジョンを設定するメリットは?

ミッションやビジョンを作る企業が多くなっている背景には、ビジョンを設定することによるメリットを感じている企業が多いこともあるのではないでしょうか。

メリット1.自社の課題に気づくことができる

ビジョンを設定すると、自社の抱える課題が浮き彫りになります。達成するために今、自社はどんなことに取り組まねばならないのか、売上がどれだけ必要なのかということを考えるからです。目標を共有することで、自社の置かれた状況を全社員が把握できるようになります。

メリット2.職場の意識を統一できる

課題が明確になれば「何に尽力すべきか」が見えてきます。その解決に向け、社員の意識を一つにまとめることができます。

メリット3.社員の意識が前向きになる

ミッションやビジョンを掲げることは会社の理想像への道筋を明らかにする、目の前にある仕事がどんな社会的意義があり、人の役に立つのかを示すことになります。仕事への「やりがい」を感じることができると、社員の意識は前向きになるでしょう。結果として、離職者が減る、社員が成長する、業績が伸びると好循環を生み出します。

「業種的にうちには必要ないかも…」
「規模が小さいからビジョンを作っても…」

そう思い、ビジョンを策定することに後ろ向きな経営者もいるかもしれません。どんな業種にも、目指すべき理想像、社会的存在意義はあるはずです。規模が小さい方が、社員の意思統一はしやすく、大きな効果を発揮します。
ミッション・ビジョンはすべての企業に必要

自社のビジョン(目標)やミッション(目的)、バリュー(価値観)を明確にすることで、さまざまな課題の解決が期待できます。TOMAでは、経営者へのヒアリングはもちろん、社員の満足度調査、経営者と社員の意識の乖離分析を行い、ミッションやビジョン、経営計画、経営理念の作成をお手伝いします。

初回相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

作成後は共有ミーティング、アンケートの実施、その後の改善活動など浸透フォローアップまでサポート。また、効率的に社員に浸透させる方法として、クレドの導入をおすすめしています。

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