将来を見越して遺言書は作成してあるから安心…そう思っていませんか?
ずっと前に作った遺言書を放置してしまうと、いざ相続が発生した際にトラブルになってしまうこともあるので、注意が必要です。
今回は、遺言書が効力を失う事例について解説します。
一般的に、権利を行使しないで一定期間経過すると、権利は消滅します。これを時効(消滅時効)といいます。例えば、お金を貸して長い間請求をしていないと、借主の返済義務は消滅してしまいます。
一方、遺言書には消滅時効や有効期限はありません。相続開始の何十年前に書いた遺言書であろうと、基本的には、ずっと効力があります。ただし、以下のように遺言書が効力を失うケースも存在します。
目次
遺言書が効力を失うケース
遺言書を複数回作成している場合
遺言を書く人が何回も遺言書を作成した場合、前回までに記載していた内容と抵触する部分については、最新のものが効力を持ちます。ですので、それ以前に記載された抵触する部分については、効力を失います。
公正証書遺言の保管期間を過ぎた場合
公正証書遺言は公証役場で保管されるため、意図的に破棄・紛失・偽造等をされるリスクがありません。公証役場での保管期限は、法律では原則20年と決まっています。
※20年経過後も遺言を書いた人が生存している場合など、特別な事由により保存の必要があるときは、保存義務があります。公証役場によっては遺言者が120歳になる年齢まで保管されます。
公証役場に保管されていれば、ご自宅や貸金庫などで保管していた遺言書の写しを紛失しても謄本の取得が可能ですが、保管期間を経過した後に写しを紛失してしまった場合には、その内容を証明することができなくなってしまいます。
古すぎる遺言書は新しいものへの書き換えも検討しましょう
遺言書は、『書いた人の相続が発生したときから効力を生ずるもの』です。まだ効力が生じていないものに、有効期限や時効といった考え方を当てはめること自体が、そもそもそぐわないと言えます。つまり、100歳で亡くなった人が60歳の時に書いた遺言書であっても、民法上、遺言者の相続発生の時から効力を生じます。
ただ、いくら有効でも、古すぎる遺言書にはさまざまな問題があります。たとえば、相続人に指定した人が先に亡くなってしまったり、遺言書に記載した預貯金を生前に使ってしまっていたりということが考えられます。また、遺言書を書いた後に取得した財産や、遺言書に記載がない財産については、遺産分割協議が必要となります。
こうしたことから起こるトラブルを避けるためにも、遺言書を作成したら、定期的に見直しをし、書き換えた方が良いでしょう。
ちなみに、遺言書を自宅に保管しておくのが不安な場合には、次のような手段を利用することができます。
・法務局で保管してもらう(自筆証書に限る)
・公正証書遺言にして、公証役場で保管する
民法上、遺言書に有効期限はありませんが、記入した内容は古くなっていきます。定期的に書き換えるか、書き換えなくてもよい内容にするなどの工夫が必要となります。
すでに作成しているから安心…と思わずにもう一度チェックを
いかがでしたでしょうか? ご自宅や公証役場等で遺言書を保管されている場合は、一度内容を確認されてもいいかもしれません。ご不明な点がございましたら、最下部のバナーよりご相談ください。
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