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【人事労務Q&A】悩める人事労務担当者必読! 就業規則や労務問題など良くあるお悩みに社会保険労務士が回答します

記事作成日2024/09/09

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人事労務業務は人材面で会社の発展に大きく貢献できるほか、時には経営陣の参謀として、またあるときは全社員の取りまとめ役になる重要なポジションです。

一方で、人手不足、他の業務との兼任で手が回らない、頻繁に改正される法律のインプットが大変…など、数多くのお悩みがTOMAに寄せられます。

人事労務の担当者は日々どのような悩みを抱えているのでしょうか。今回のブログではそうした相談をいくつかピックアップし、その対応策と共にご紹介します。ブログを最後までお読みいただき、お悩みのヒントが見つかれば幸いです

相談1:現在の就業規則が法令・法改正にきちんと対応しているか不安です

就業規則は法令遵守はもちろんのこと、ハラスメント対策など労務トラブルを未然に防ぐ内容を適切に盛り込むことが大切です。

「就業規則」は事業場における労働時間、賃金、服務規律など労働条件が統一的、具体的に定めてある規則集です。労働基準法(第89条)で作成・届出が義務付けられています。また、就業規則は従業員との間で起こるトラブルの解決に欠かせないツールです。

就業規則に記載する内容

一言で、就業規則といっても、記載する内容は大きく3つに分かれます。

【絶対的必要記載事項】
・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項…など

【相対的必要記載事項】
・退職手当に関する事項
・臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
・食費、作業用品などの負担に関する事項…など

【任意的記載事項】
・社訓的事項や採用に関する内容、前文など

就業規則を作成する際は、何を書かなければならないかをしっかりと理解した上で作成しなければなりません。

就業規則に記載するべき内容は法律で決められています。2024年4月からも労働条件明示のルールが変わりました。就業規則に関する法令は頻繁に改正されるため、注意が必要です。



就業規則は労務トラブルを回避する際にも重要です。近年はハラスメント問題や同一労働・同一賃金、メンタル疾患、モンスター社員問題など、一昔前に比べて労務リスクは多岐にわたるため、これらに対応できる就業規則にしておきましょう。

就業規則についてもっと詳しく知りたい方はこちらのブログも参考ください。

相談2:労務トラブルが発生したとき、どのように対応すればよいでしょうか?

当事者から丁寧にヒアリングを実施し、どのようなトラブルが、どういった時系列で起きたのか、原因を検証します。トラブルを検証するための記録や資料をそろえるのも忘れないでください。

該当者がすでに退職をしてしまっている場合や、会社への不信感を募らせていて冷静に対話できない場合は、弁護士や社会保険労務士など、法律に関する知識を有する第三者を介してヒアリングを行った方がスムーズに話が進むケースも多いです。

ヒアリングが完了したら会社としてどこまで責任を負うべきかを決定します。範囲は弁護士や社会保険労務士といった専門家に相談するのが良いでしょう。

労務管理は常に正しくなければなりません。正しい労務管理とは、社員が明るく元気に働き、会社に貢献する職場環境を整えることです。そのためには雇用環境の変化や法改正、人事制度の潮流など、各種外部要因の変化に柔軟かつ継続的に対応していくことが求められます。

インターネットを介せば法律知識が簡単に手に入る時代、社員が身勝手な解釈や誤解によって会社に対する過大な権利行使や請求を行う労務トラブルも増加傾向にあります。就業規則などを見直し、労務トラブルが発生する前に未然に防ぐことが最も有効な対策と心得ておきましょう。



相談3:人材育成に貢献できる人事制度をどのように構築したらよいでしょうか?

人事制度とは何かを理解し、会社にとってどんな人材が必要なのかを徹底的に検証することからはじめましょう。

人事制度とは社員の役割と責任を明確にする『等級制度』、社員を評価し、課題を抽出する『評価制度』、社員の給与・賞与を決める『賃金制度』の総称です。

経営理念や経営計画の実現に向けて、どのような人材を育てなければならないかを「見える化」することで、どんな人事制度を構築すれば良いか、どのような育成機能を備えるべきかの輪郭が見えてくるはずです。

人材育成には『社員一人ひとりに目標を設定させる』目標管理制度(MBO)が有効です。MBOがうまく機能すると、社員が「どうすれば目標達成できるのか」を自発的に考え行動するようになります。目標達成という成功体験は社員の自信となり、仕事へのモチベーション向上に寄与します。

MBOについてもっと詳しく知りたい方はこちらのブログも参考ください。


相談4:各種ハラスメント問題の対応に困っています

まずは、事実関係を正確に調査し、調査報告書を作成しましょう。処分を実施したのちに、被害者へのフォローを行うのが一般的な流れです。

ハラスメントは発生前の防止策が何よりも重要です。かつてハラスメントといえば、セクハラ、パワハラの2つでしたが、近年ではマタニティハラスメント、モラルハラスメントなど急速にその裾野を広げています。

ハラスメントが発生するのは社員同士のコミュニケーション不足が最も大きな原因ですが、ハラスメントを恐れて職場のコミュニケーションがさらに減少しているという会社も多いのではないでしょうか。

中小企業もパワハラ防止措置が義務

2022年4月1日から、中小企業も「改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)」の適用範囲となり、パワハラ防止措置をとることが義務付けられています。

具体的には以下のような措置を取らなければなりません。

・相談窓口を設けるなど、従業員からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備
・パワハラに関する事実確認・適切な処置など、事後の迅速かつ適切な対応
・プライバシー保護に必要な措置、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、従業員に周知・啓発

また、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法においては職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・ 育児休業等に関するハラスメントの防止対策も義務付けられています。

基本的な措置はパワーハラスメントと同様ですが、セクシャルハラスメントにおいては自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合、協力することが必要です。

ハラスメント対策は法律の範疇を超えた対策が必要

現在、パワハラ、セクハラ、マタハラ、育児介護(ケア)ハラが法律で措置義務があります。。しかし、社員から「上司にジェンダーハラスメントを受けた」と相談があった場合、どう対応するかも社内で検討する必要があるでしょう。



機械的に法律に沿った対応をするのではなく、「そもそもなぜハラスメントが問題なのか」に立ち戻って考えることが大切です。

ハラスメントのない職場環境を整えることで、社員は安心して働くことができます。

そのような環境は社員のモチベーションをアップさせ、会社が大きく成長する原動力となるはずです。ハラスメントが発生するとその対応に膨大な時間を取られることになるので、これも労務トラブルと同様に防止策をしっかりとしておくことが重要です。

詳しく知りたい方はお気軽にTOMAにご相談ください。



相談5:社員の健康を守る「健康経営」。どのように取り組めばよいでしょうか?

会社や業種、部署によって健康課題は異なります。まずは自社にとっての健康課題を洗い出すことから取り組みましょう。課題解決策は一定期間をおいて効果測定を行い、ブラッシュアップをしていくことが大切です。

近年、健康経営に取り組む企業は増加傾向にあります。

健康経営とは社員の健康保持・増進を将来に向けた投資として捉える経営戦略です。

健康経営は業種に関係なく導入が可能で、社員の健康状態の改善、離職率の低下、企業価値の向上、業績の向上、ステークホルダーからの信頼獲得、社員のパフォーマンス向上、採用活動への好影響といったメリットが期待できます。

取り組む際には、まずは自社の健康課題の見える化から取り組みましょう。

業種や部署の内容によって課題は異なります。体調やメンタルヘルス、長時間労働の有無、健康診断の受診率などから、社員の健康に対して何が必要なのかを考えることが大切です。

課題解決策は常に改善を意識しサイクルは早く

次に、課題を解決するための目標を設定します。

・残業時間が多い場合は残業を減らすための施策を実施する
・メンタルヘルスに課題がある場合は診察料を補助する
・運動不足が懸念される部署では万歩計を配布し、一定数を超えたらドリンク代を進呈する
・喫煙による健康悪化が想定される際には勤務時間内は禁煙にする…etc

自社の課題に合わせた目標設定をしましょう。
施策がうまくいけばそのまま運用しうまく機能していない、効果がないと感じたら改善策を立案しPDCAを回して健康経営を促進させます。



自社内で完結してももちろん良いですが、ある程度の成果が出たら健康経営優良法人認定制度への申請を検討してみるのもいいでしょう。認定されれば自社の宣伝にもなりますし、採用活動にも有利に働きます。

健康経営についてもっと詳しく知りたい方は以下のブログも参考ください。

人事労務の悩みは専門家に任せるのも有効な手段です

人事労務の業務は「給与・手続き」「労務管理」「採用」「人事企画」と大きく4つに大別されます。非生産部門などと呼ばれることがあるかもしれませんが、人事労務の仕事がなければ会社を維持していくことは絶対にできません。

時には会社の経営方針を決めることにもなる重要なポジションであり、人事労務業務を円滑に遂行するには豊富な知識やコミュニケーション能力、情報感度、事務処理能力といった幅広いスキルや能力が必要です。

その一方で、中小企業では専門の人事労務部がなく、他の業務と兼任しているというケースも少なくありません。

数々の企業経営者の方々と話をしていると、「小さな会社だから、評価制度や賃金制度、就業規則などが不十分なのは仕方がない」と諦めているケースも散見されます。確かに、法律に関する詳しい知識が必要であったり、近年の労務トラブルに精通していないと対処ができなかったりと限られたリソースの中で対応が困難なこともあると思います。

そんな時は、外部のプロのアドバイスやコンサルティングサービスを検討するのも一つの手段と言えるでしょう。

TOMAは人事労務に対する問題を包括的にサポートすることができます。

具体的には、以下のようなサービスを展開しています。

◆ 就業規則をはじめとする人事労務関連諸規程の整備・改訂に関するアドバイス(新規作成、大規模改訂を除く)
◆ 労使協定などの締結に関するアドバイス
◆ 雇用契約書、労働条件通知書、辞令、その他社内人事書式などに関するアドバイス
◆ 人事労務制度の運用および人事労務管理上の問題解決に関するアドバイス
◆ 行政官庁の臨検調査の対応に関するアドバイス
◆ 労働関係諸法令の解釈・運用に関するアドバイス
◆ メンタルヘルス・ハラスメント対応などの人事労務に関するアドバイス
◆ 法改正情報のご提供


TOMAの人事労務コンサルティングは、人事労務に関するあらゆる悩みをワンストップで解決できます。


経験豊富な社会保険労務士が多数在籍していて、3,500件以上の労務問題対応実績を基にした迅速かつ的確なアドバイスが可能です。また、グループ内には弁護士、労基署OB、産業医会社とのネットワークがあり、あらゆる労務問題に対応します。

あなたの会社の状況やニーズに合わせて顧問契約、スポット契約、タイムチャージなど多様な関与形態を選択できます。

人事労務に関して少しでも悩みがあるようならお気軽にご相談ください。