近年、家族の在り方や働き方の多様化が進む中、ワークライフバランスや社員の家庭環境の変化への対応が重要になっています。
そこで、今回のテーマは中小企業における「男性の育児休業促進」。本ブログではそのための社内体制整備のポイントや育児介護休業法の改正について専門家の視点から解説します。
ぜひ、自社での“男性育休推進”の取り組みにお役立てください。
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目次
今、男性の育児休業が必要とされる理由
男性が育児に関わることの重要性が広く認識されるようになった近年、女性と比較すると依然低いものの男性の育児休業取得率は年々上昇の一途をたどっています。
国も法整備や様々な政策を通じて、男性の育児休業の取得率向上を目指すなど、育児に対する意識の変化は着実に社会全体に広がっています。
着目すべきは、男性の新入社員の約8割が育児休業取得を希望しているという点です。
昨今の人材不足問題の中で人材の獲得・定着に課題を抱えることが多い中小企業の場合、社内で『育休促進』への取り組みが進まないという状況が続くことは、会社の成長戦略に支障をきたすことになるでしょう。
男性の育休取得における主な課題
とはいえ、男性の育休取得については様々な課題があることも事実です。
主なものだけでも、休業中の賃金保障や代替要員の確保などの問題、職場の雰囲気や上司の理解不足、キャリア形成において不利になるという本人の懸念など、男性育休取得の課題は数多くあります
特に、最も多く経営者を悩ませているのが『代替要員の確保』で、育休中の業務を引き継げる従業員を確保への対策は、男性の育休取得推進の重要なポイントのひとつになります。
実は、男性の育休取得のハードルは想像より高くない
育児休業の期間といえば1年間…のような固定観念があるかもしれませんが、実は短期間だけ取ったり分割取得することもできます。例えば1~2週間程度であれば業務の代替も比較的簡単に行えるなど、個人と会社の事情に合わせて時期や期間を柔軟に選択すれば、育休取得のハードルは決して高くありません。
そして何より希望が通り、育休を取得できたという従業員・家族の心象は定着やモチベーションに好影響を及ぼすでしょう。
育児休業にまつわる2つの労務リスク
育児休業は法律で定められた従業員の権利です。拒否できないことはもちろん、申請や取得に対して以下に挙げたような無理解な対応をすることは、重大な労務リスクとなります。
不利益取扱い | ハラスメント |
育児休業の申出・取得等を理由として不利益な取扱いをすることは法律で禁止されている ●解雇すること。 ●降格させること。 ●減給をし、又は賞与等で不利益な算定を行うこと。 ●昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行うこと。 ●不利益な配置の変更を行うこと。 等 | 育児休業等の申出・取得などに関して、上司、同僚からのハラスメントは禁止されている ●ハラスメントに該当する可能性のある言動の例 「男のくせに育休をとるなんてありえない」 「休みをとるなら復帰する場所はない」 「忙しい時期に育休をとるなんて迷惑だ」 「次の査定の際は昇進しないと思え」 |
育休促進を支える社内体制を整備しよう
中小企業において、男性が育児休業を安心して取得できるよう社内体制を整備することは、働き方改革の一環として非常に重要です。
男性従業員の育児休暇取得が一般的になることで、従業員の生活バランスが向上し、仕事に対する満足度やモチベーションが高まります。もちろん、会社としても下に挙げたように、人材の獲得・定着に効果を発揮し、さらに従業員の成長による戦力UPも期待できます。
社内体制整備のポイント
男性の育休取得が進まない原因のひとつが、取得することに対する心理的ハードルや、社内文化・体制が整っていないことです。
これらを解決するために、社内体制の整備によって取得者がキャリアや給与で不利にならないことを明確に示し、また育休中の業務の引き継ぎ・サポート体制を構築するなど、育休取得を当たり前のものとしてロジカルに対応できる組織作りを目指しましょう。
イクボス宣言で育休取得のロールモデルに
経営陣や管理職がイクボス(※)として率先して育休取得を推奨し、社員に対して積極的なサポートを行う姿勢を示すことが、企業文化の醸成につながります。男性が育休を取得することへの抵抗感が減り、取得率も向上すれば働きやすい会社との認識も進むでしょう。
<イクボスになるための4STEP>
①上司自ら育休取得を宣言
②部下にも育休申請を働きかける
③職場全員の休暇を計画的に組み、共有
④有休取得日数を引いた営業日で業務を
※イクボス:部下の育休取得や短時間勤務などがあっても、業務を滞りなく進めるために業務効率を上げ、仕事と私生活を両立できるように配慮し、自らも仕事とプライベートを充実させている管理職のこと(引用:厚生労働省)
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“男性育休”の推進が生産性の高い強い組織を作る鍵
いかがでしたでしょうか?
男性の育休推進は、従来の働き方や組織文化を見直す良い機会であり、企業がより生産性の高い、強い組織に変革する未来への一手です。
今後、確実に育休を求める人材が増えてくることが想定されます。中小企業の成長戦略の要である「人材獲得・定着」で後手を踏まないためにも今こそ組織改革を始めましょう。
TOMAならトップの“育休推進宣言”時のご相談から、前述した人事・賃金・就業規則の整備といった社内体制の構築、業務の効率化、そして継続的な取り組みへのアドバイスまで、御社の取り組みをトータルにサポートいたします。
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