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副業・兼業禁止規定の有効性について

記事作成日2021/07/06 最終更新日2021/08/18

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Q:就業規則において、副業・兼業は原則として禁止することを定めています。この規定は、有効でしょうか?

A:副業・兼業について、裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとしています。このことから、副業・兼業の禁止規定の有効性は、限定的なものであると解されます。

具体的には、副業・兼業を制限することのできる場合の例として、厚生労働省が公表する「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、次の4つを挙げています。これらに該当する場合は、副業・兼業を禁止することのできる可能性があります。

①労務提供上の支障がある場合
②業務上の秘密が漏洩する場合
③競業により自社の利害が害される場合
④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

【解説】

 はじめに

副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーション、起業の手段や第2の人生の準備として有効とされており、「働き方改革実行計画」において、副業・兼業の普及を図るという方向性が示されています。また、2020年9月、厚生労働省は、改訂版「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しており、会社には、当該ガイドラインの内容を遵守して労務管理を行うことが求められています。
副業禁止規定の有効性については、先述したとおり、当該ガイドラインにおいて、例示されており、その内容に該当する場合においては、副業・兼業を制限することができると解することができます。

ワンポイントアドバイス

就業規則において、副業・兼業を行うことを希望する労働者に、希望する旨を事前に申し出ることを義務付けた上で、副業・兼業は、会社が認めた場合に限ることを明記しましょう。また、無用な労使トラブルを回避するため、副業・兼業を拒否する場合の基準を規定することをお勧めいたします。
会社は、副業・兼業を行う労働者について、適切な労務管理を行わなければなりません。そのため、副業・兼業の可否を判断するだけでなく、適切な労務管理を行うために、副業・兼業を行う労働者の勤務状況を把握する仕組みを構築することが求められます。
TOMA社会保険労務士法人では、副業・兼業についての労務管理に関するコンサルティング・就業規則の見直し等を承っております。お困りの際は、是非お問い合わせください。

 

【執筆者】
特定社会保険労務士
 TOMA社会保険労務士法人
TOMAコンサルタンツグループ㈱ 人事コンサル部 部長 渡邉 哲史

 明治大学法学部卒業。大手人事コンサルティング会社において、アウトソーシング部門、顧客サービス部門等で数百社のクライアントにし、人事・労務指導や人事コンサルティングに携わり多くの経験を積む。
現在、TOMA社会保険労務士法人、人事コンサル部、部長として部門業績達成と部下育成のマネジメントのほか、顧問先20社超に対する労務管理指導、クライアントに対する就業規則をはじめとした諸規則作成、働き方改革指導、人事制度構築コンサルティング、セミナー講師等で活躍。中小企業の活性化こそが日本社会全体の活力を生む、と考え、日々尽力している。

【著書・執筆協力・監修】
「会社の“本気”を後押しする 過重労働防止の実務対応」 (清文社)
「未払い残業代対策と残業代削減」 (日本経済新聞出版社)
「全社員・職員で学ぶ!マイナンバー漏洩対策 DVD」(日本経済新聞出版社)
「R&D部門の働き方改革とその進め方」(技術情報協会)
「Profession Journal (Web情報誌)」(清文社・TAC)
YouTube「事業継続のための希望退職募集方法」「雇止め・整理解雇の進め方」  ほか

【主な講演実績】
令和 3年 4月        はじめて取り組む『雇用シェア』の留意点と支援策(東京商工会議所主催)
令和 3年 4月        同一労働同一賃金を踏まえた制度設計セミナー(TOMA主催)
令和 3年 4月        事業継続のための人件費削減セミナー(TOMA主催)

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