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医療機関・薬局も対応必須! 改正電子帳簿保存法の2年の宥恕措置(経過措置)期間で準備しておきたいこと

記事作成日2021/12/17 最終更新日2022/06/13

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病院、医院、薬局等において、これまで取引で生じた請求書や領収書等の帳簿書類はどのように保管されてきましたでしょうか。
紙のものや、PDFなどのデータで受領したものなど様々な形態のものがあるかと存じますが、それぞれの帳簿書類の保管方法について明記されている電子帳簿保存法について説明をさせていただきます。

税制改正大綱にて2年間の宥恕措置(経過措置)の期間が設けられることとなりました

先日発表された税制改正大綱にて、2022年1月に施行する電子帳簿保存法の『電子取引の要件』(電子保存の義務化)について、2年の宥恕(ゆうじょ)措置の期間が設けられました。そもそも、電子帳簿保存法とは何でしょうか? 詳細は後述いたしますが、電子データで受け取った書類は従来通り紙に印刷しての保存が認められず、電子的に保存しなくてはならないという法律です。

この対応は、請求書や領収書等の帳簿書類について、今もなお紙で経費処理している中小企業にとって負担が大きく、システム改修などが間に合わないとの声を踏まえた対応のようです。また、対応を避けるため、取引先から電子データではなく紙で書類をもらう動きもあるなど、電子化に逆行しかねない点が指摘されてきました。

当初、電子データの保存要件を満たさないと青色申告の承認取り消しの対象となり得ると公表されていましたが、2021年11月に、些細な要件違反でも直ちに承認が取り消されるわけではなく、その違反の程度等を総合勘案して、真に青色申告をするにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上で判断する旨が改めて公表されていました。

今回、2年間の宥恕措置の期間が設けられたことにより、保存要件に従った保存ができなかった場合でも、やむを得ない事情があると税務署長に認められれば、引き続き、紙での出力書面等による保存が可能となります。

電子帳簿保存法『電子取引の要件』とは?

『電子取引の要件』(電子保存の義務化)では、PDF等の電子データで受け取った「取引情報」は、紙ではなく電子データでの保存が義務付けられることとなります。
「取引情報」とは、取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項のことを指します。

また、電子データで受け取った「取引情報」の保存方法として、専用ソフトを使用する場合と、専用ソフトを使用しない場合(フォルダ等に格納して保存など)とが考えられます。

なお、保存要件や保存方法などの詳細については、以下の記事に記載がございます。
ご参考までに紹介させていただきます。

【図解あり】令和4年1月1日から施行の電子帳簿保存法『電子取引の要件』追加一問一答をわかりやすく解説

今後、医療機関などで必要な対応

以上のような経緯により、『電子取引の要件』は2022年1月からの施行について2年の宥恕措置が設けられましたが、対応の準備は進めていく必要があります。
国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】には、以下のものも電子取引に該当すると記載がされています(一部抜粋)。


・電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル)を受領
・インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ (PDFファイル等)
・クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払いデータ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
・請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

※参考 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

帳簿書類の中で、上記に該当するものはありませんでしょうか。
例えば、医療機関特有のものとして、学会や研修会等の参加費について、ホームページからダウンロードするものもあるかと思います。

電子帳簿保存法については、すべての法人・個人事業者が対象となりますので、医療機関にも関わってくることから、今回紹介させていただきました。

今後の対応などについてご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください。

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