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概要を解説!健康保険証のオンライン資格確認義務化について<2023年4月義務化>

記事作成日2022/09/08 最終更新日2022/12/27

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マイナンバーカードのICチップ、もしくは健康保険証の記号番号などによりオンライン上で医療保険の資格情報の確認ができる「オンライン資格確認」。
厚生労働省は令和5年4月から(来年4月)このオンライン資格確認の導入を原則義務化する方針を示しました。
そこで今回のブログでは、導入義務化に向けて概要や今後の流れなどをご紹介いたします。

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オンライン資格確認導入で窓口業務軽減&高質な医療サービスの提供を

受付で健康保険証を受け取り、保険証記号番号や氏名、生年月日、住所等を確認し、医療機関システムに入力する作業を「資格確認」と呼びます。この「資格確認」をマイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等から自動で取り込むため、窓口業務が軽減されます。

また、健康保険証のオンライン資格確認では、患者の同意は必要となりますが、マイナンバーカードを用いて過去3年分の薬剤情報や過去5 年分の特定健診情報の閲覧ができるようになります。患者の過去の状況が分かることで、より適切な医療サービスの提供につながります。

オンライン資格確認を導入するには?

上記のような様々なメリットがある健康保険証のオンライン資格確認ですが、利用開始に向けては必要な設備を新たに購入するか、既存のシステムで利用できるようにするための整備が必要です。オンライン資格確認の導入に向けた準備作業は以下の4ステップになります。

1ステップ目の顔認証付きカードリーダーは医療機関及び薬局に無償提供され(病院3台まで・診療所等1台)、その他の費用については補助金を活用することが出来ます。

※ ・令和3年3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関・薬局
→上限額までの実費を補助する特例を実施
・令和3年4月~4年の6月6日に顔認証付きカードリーダー申込み、令和4年6月7日~令和5年1月末までに運用開始した施設
→令和4年6月7日からの補助金額との差額も別途補助(既に補助金交付済施設については対象外)
例:病院において1台導入・上限額まで補助される場合→210.1万円-105万円=105.1万円

上記の補助金はオンライン資格確認の導入に必要となるパソコンの購入・導入、ネットワーク環境の整備、レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修などを対象として上限額と割合で補助が受けられます。(図の上限額は消費税を含めた額です。)

顔認証付きカードリーダーは5 つのメーカーから機種がリリースされており、機種ごとに形状など、特徴に差があります。現在ご使用のレセコンとの相性も重要となりますので、システムベンダへのお問い合わせをお勧めします。

この補助金は令和5年3月末までに補助対象事業を完了させ、令和5年6月末までに補助金交付申請をしたものが対象となります。

「マイナ保険証」使用時の患者負担

マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」。現在、医療機関での導入を促す狙いで、マイナ保険証使用時に一定額が診療報酬に加算される制度が運用されています。

しかし、この制度は診療報酬への加算の為、医療機関の報酬が増える一方で患者負担も増えてしまい、マイナ保険証の普及・活用から逆行するとの声もありました。

そこで現行の制度を見直し、診療報酬に加算する点数を引き下げ、初診時に限定することで患者負担を限定する医療情報・システム基盤整備体制充実加算制度の導入が令和4年10月から始まります。

※施設基準→下記の事項を当該医療機関・薬局の見やすい場所及びHP等に掲示していること (対象はオンライン請求を行っている医療機関・薬局
・オンライン資格確認を行う体制を有していること(厚労省ポータルサイトに運用開始日の登録を行うこと)
・患者に対して薬剤情報・特定健診情報などその他必要な情報を取得・活用して診療等を行うこと。具体的には下記を予定。(医科・歯科)初診時の問診票の標準的項目を新たに定める
(薬局)文書や聞き取りにより確認する項目を定め、当該情報等を薬剤服用歴に記録することを求める

令和5年4月からのオンライン資格確認導入の原則義務化を前提にしており、初診時の取り組みを評価する制度となっております。また、令和6年秋に現行の健康保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化することが発表されました。

こうした動きがあるなかで、マイナ保険証の取得率は11月13日時点でおよそ25%(約3084万件)しかありません。マイナ保険証の利用には下記のようなメリットもありますので、健康保険証を利用している既存の患者さんにも取得検討をお話しされてはいかがでしょうか。

[マイナ保険証使用のメリット]
・就職や転職・引っ越し後も同じカードを使用可能
・服用中の薬・健診結果などのデータを複数の医療機関が共有できることで、同じ健診を受けることがなくなるなど、より適切な医療サービスの提供につながる

実際の導入時にお気をつけていただく点

2023年4月からの義務化が発表され、街中で顔認証付きカードリーダーが置かれている医療機関を見かけるようになってきました。しかし、機器を導入していても実際に使用される患者さんは、まだまだ少ないと思います。オンライン資格確認の導入が最も業務負担を減らせるのは新患の登録時ですが、現状では既存の患者さんが使用する例が多く、新患の方が利用することはほとんどない印象です。導入している医療機関で実際に顔認証付きカードリーダーを使用し、気づいた点を下記にピックアップしてみました。導入する際の参考にしてください。

【よくあるトラブル】
・診療順:後から来院された通常の保険証利用の患者さんが、先に診察室に案内された
→診察順が前後するとクレームになりかねないため、実際に導入し運用する際にはご注意ください。
・マイナンバーカードの挿入の向き:医療機関が横向きにいれるタイプであり、薬局でも同じかと思っていたら縦向きだった
→各社のカードリーダー一覧を記載いたしました。メーカーによって挿入部や向きが違うので説明書きの立札を貼るなども有効です。

※各メーカーの顔認証付きカードリーダー一覧
出典:厚生労働省

顔認証付きカードリーダーは本人確認段階で患者さん自身の操作が必要になります。各システム会社によって差し込む向きなど違いがありますが、受付側からは患者さんの操作画面が見えません。運用に伴い、患者さん操作の為の受付対応なども必要になります(本人確認時には暗証番号認証か顔認証を選ぶことが可能です)。

※暗証番号認証ではマイナンバーカード登録時に設定する暗証番号4桁にて認証・顔認証はマスク・眼鏡・帽子をつけていても問題はありません。
※お子さんの場合、顔認証だと成長によってはマイナンバーカードとの照合がうまくできないことがある為、暗証番号での認証をお勧めします(親御さん等が代理で暗証番号認証することもできます)
※一般的に、医療機関近隣の薬局で薬を処方してもらう場合が多いと思いますが、医療機関と薬局でカードリーダーのメーカーが異なる場合には患者さんが操作を誤るケースが多発する可能性がありますので、その点にもお気を付けいただければと思います。

こちらの事例紹介には大病院から診療所・薬局など幅広い導入例が記載されておりますので、ご自身が運用する際にご活用ください。

2022年12月時点でのオンライン資格確認の導入状況

下記は12月4日時点での顔認証付きカードリーダーの導入状況です。2023年4月からの義務化に向けて約4か月に迫っている中、現在、オンライン資格確認の導入は準備完了施設数が43.7%・運用開始施設数が37.4%で、6月時点での準備完了施設数27.0%・運用開始施設数21.5%と比較すると原則導入義務化が発表されてから全体で導入の動きが加速した印象を受けます。申込数においては88.6%まで増加・義務化対象施設に対する割合においては95.6%まで達しており、今後一層導入の動きが加速すると思われます。

顔認証付きカードリーダーは受注生産であり、メーカーによっては既に事前生産台数を達し受付を終了した製品もあります。事前生産数には限りがあるため、ご希望の製品がある場合には速やかな申込が必要です。導入準備については、厚生労働省のHPで「オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き」とQ&A集が公開されています。また、TOMA過去ブログでもオンライン資格診断導入について載せておりますので、あわせてご確認ください。
TOMAの月次顧問サービスでは、今回のオンライン資格確認のような最新情報を常に提供しています。医療分野に強い税理士より、業界最新情報やセカンドオピニオンをご提供していますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せ下さい。また、メルマガなどでも最新情報を発信しています。

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<記事内図解の出典>

・厚生労働省 オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
・厚生労働省保険局「オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き」
・厚生労働省 Q&A集
・厚生労働省「オンライン資格確認の導入が原則として義務付けられます」

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