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知っててよかった! 医療関係者向けに定額減税を解説~個人開業医編~

記事作成日2024/06/27

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今回のテーマは、2024年6月から導入された定額減税です。前回の理事長・勤務医編に引き続き、今回は個人開業医編として、定額減税を解説します。

令和6年6月から導入された所得税と住民税の定額減税ですが、ご準備はお済みでしょうか? 月給を受け取っている医療法人の理事長・勤務医・職員の方と、個人開業医の院長の方の場合では、定額減税の控除の受け方が変わってくるため、定額減税について正しく理解する必要があります。

今回は、個人開業医編ということで、個人開業医の院長先生の定額減税についてQ&A形式で説明します。

以下、動画では、さらにわかりやすくご紹介していますので、ぜひご視聴ください。

Q1 定額減税とは何ですか?

定額減税とは、所得税および住民税の一定金額を控除する制度です。これにより、納税者の税負担が軽減されます。

Q2 個人開業医も定額減税の対象なのでしょうか?

個人開業医の先生も定額減税の対象です。ただし、令和6年の合計所得金額が1,805万円以下の方が対象です。

Q3 定額減税の控除額はどれくらいですか?

定額減税は、所得税と住民税がそれぞれ控除されます。

所得税の控除額は3万円です。同一生計配偶者または扶養親族がいる場合は、一人につき3万円が加算されます。

住民税の控除額は1万円です。控除対象配偶者または扶養親族がいる場合は、一人につき1万円が加算されます。また、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する者については、令和7年度の住民税から1万円控除されます。

同一生計配偶者とは、生計を一にしている配偶者のうち、合計所得金額が48万円 (給与収入103万円)以下である者をいいます。

控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円(給与収入1,195万円)以下の配偶者をいいます。

Q4 所得税の予定納税がある場合の定額減税はどのように行われますか?

個人開業医の先生は、7月と11月に所得税の予定納税がある方も多いかと思います。所得税の予定納税がある場合、定額減税はその予定納税額から控除されます。

具体的には、下記のように控除されます。

・第1期分予定納税(7月に納める予定納税)
本人分に係る定額減税額、30,000円が控除されます。例年、第1期分の予定納税の納付期限は7月31日ですが、令和6年は9月30日です。

・第2期分予定納税(11月に納める予定納税)
控除しきれない部分がある場合は、第2期分予定納税額から控除することになります。

また、同一生計配偶者または扶養親族の分の減税は、予定納税額の減額の申請を行えば第1期(7月1日から9月30日まで)に控除することができます。この減額の申請の提出期限は、例年7月15日ですが、令和6年は7月31です。

Q5 所得税の予定納税がない場合はどうなりますか?

令和5年が還付だった場合など、所得税の予定納税が無い場合もあります。所得税の予定納税がない場合は、令和6年分の確定申告の際に控除されます。よって、定額減税の恩恵を受ける時期が、確定申告を行う令和7年の2月から3月頃になります。

Q6 令和6年の所得が1,805万円を超えそうな場合、定額減税はされないのでしょうか?

個人開業医の先生のなかには、令和6年の途中で所得が1,805万円を超えると見込まれる場合もあるかと思います。そのような場合でも、予定納税の対象であれば、第1期分の予定納税の際に、予定納税額から本人分3万円が控除されます。

そして最終的に、令和6年の所得金額が1,805万円を超えた場合は、予定納税の際に控除された3万円は、確定申告で精算します。

Q7 事業所得の他に、給与所得もある場合は、両方から減税を受けられるのでしょうか?

事業所得(給与以外の所得)と給与所得の両方がある場合もあるかと思います。

Q3で記載したように、一人当たりの減税額は決まっていますが、両方から減税を受けてしまうケースもあります。その場合は、一旦それぞれで減税を受けて、確定申告時に清算します。また、個人開業医の先生は、下記1、2のどちらかに該当することが多いと思いますが、該当する場合には、下記のように減税を受けることになります。

1.事業所得(給与以外の所得)が多く、給与所得が少ない場合

個人開業医の先生は、こちらのパターンが多いと思います。こちらのパターンで、予定納税がある場合は、Q4の記載と同様に予定納税額から控除、予定納税がない場合はQ5の記載と同様に確定申告の際に控除されます。

2.事業所得(給与以外の所得)が少なく、給与所得が多い場合

こちらのパターンは、勤務医の先生が給与以外の所得(例えば不動産所得)もある場合などが考えられます。この場合は、主たる給与、いわゆる甲欄の源泉所得税が引かれている勤務先で控除されます。

なお、上記1のパターンで主たる給与を受け取っている場合や、上記2のパターンで事業所得(給与以外の所得)が多く、予定納税がある場合も考えられます。これらの場合は、確定申告で精算します。

Q8 専従者の給与も定額減税の対象なのでしょうか?

はい、青色事業専従者の給与も、定額減税の対象です。こちらは令和6年6月以後に支給する給与または賞与にかかる源泉所得税から、順次控除していき、控除しきれない場合は、年末調整で調整することになります。

Q9 個人開業医の住民税の定額減税は、どのように行われるのでしょうか?

個人開業医の先生の場合、普通徴収という方法で住民税を納めている方が多いと思います。普通徴収の場合の住民税の定額減税は、1期分の納付額から控除されます。控除しきれない部分がある場合は、第2期分以降から順次控除されます。

個人開業医編のQ&Aは以上となります。動画では、さらにわかりやすくご紹介していますので、ぜひご視聴ください。



ここまで、個人開業医の所得税・住民税の定額減税について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。下記のブログでは医療法人の理事長、勤務医、職員の所得税・住民税の定額減税について解説しています。