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採用トラブルを防ぐ!厚生労働省の有料職業紹介事業者認定制度とは?

記事作成日2024/02/14

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少子高齢化に伴う日本の人口減少により多くの業種で人材不足が深刻化しており、これを読んでいる医療機関の皆様も、職員の採用に苦慮されていると思います。

採用活動を行う際、多くの方が人材紹介事業者を利用されるかと思いますが、採用側と人材紹介事業者との間でトラブルが起きていることはご存じでしょうか。

厚生労働省ではそのトラブル発生を受けて、事業者が悪質な紹介会社と出会わないよう有料職業紹介事業者認定制度を実施しています。

今回のブログでは、この認定制度の概要をご紹介します。

また、職員の新規採用等によって人件費が増加した場合、賃上げ促進税制の適用を検討することが出来ます。この制度は令和6年度税制改正大綱において要件の拡充が盛り込まれましたので、こちらにも触れていきたいと思います。

職業紹介事業者との採用トラブルとは

新たに職員を採用する際、多くの方がハローワークや民間の職業紹介事業者を利用されるかと思います。民間の職業紹介事業者を利用し採用する際に支払う紹介手数料は、採用決定者の年収×30~35%が相場とも言われており、採用側の負担も決して小さいとは言えません。

しかし、一部の人材紹介事業者ではこの仕組みを悪用し、紹介した就職者に対し転職をしたらお祝い金を支給するなどと持ちかけて転職を勧奨し、繰り返し手数料収入を得ようとすることで採用側とトラブルが生じたケースが報告されています。

トラブルに巻き込まれた際は最寄りの都道府県労働局相談窓口へ相談することをお勧めします。

なお、厚生労働省では職業紹介事業者に対し、求職者が早期離職することがないように以下の事項を遵守することを求めています。

・自らの紹介で就職した者に対し、就職日から2年間は転職の勧奨を行ってはいけない
・紹介手数料に関して、返戻金制度を設けるようにする
・求職者と求人者に対し、徴収する手数料を明示する

有料職業紹介事業者認定制度について

前項で人材紹介事業者とのトラブルについてご紹介しましたが、悪徳な業者に出会わないように厚生労働省では、「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」を設けています。次は、この認定制度の概要についてご紹介します。

厚生労働省の「有料職業紹介事業者認定制度」とは、求人者と職業紹介事業者が協力し、入職後の定着を促進することを通じて、求人者における安定的な人材確保を目指す制度です。では、この認定事業者はどのように選ばれるのでしょうか。

適正な認定事業者の条件

人材紹介事業者が認定事業者として認められるためには、特定の基準を満たす必要があります。では、認定を取得した事業者はどんな要件を満たした事業者なのでしょうか。

【必須基準(一部抜粋)】

・職種別に手数料を公表している
・早期離職時の返戻金制度を設けている
・求職者へのお祝い金を支給していない
・自らの紹介で就職した者に対し、就職した日から2年間は転職勧奨をしない
・みだりに転職活動を助長するような広告をしない
・配慮が必要な個人情報は、本人の同意を得ずに取得していない

これは、紹介事業者が認定を受ける際、必ず守らなければならない基準の一部です。内容を見ると、冒頭で述べたような採用トラブルを防ぐためのセーフティネットの役割を果たしていることが分かります。具体的な項目については、本制度のホームページから確認できます。

認定の審査は年に2回行われ、有効期間は3年です。また、認定事業者は3年ごとに最新の認定基準に基づいて審査を受け、認定を再取得しています。一度認定を受けたからといって終わりではないため、安心して事業者の選定に取り組むことができます。

認証マーク

出典:厚生労働省

適正な有料職業紹介事業者として認定を受けた事業者には、上記のような認証マークが付与されます。医療・介護・保育のどの分野で認定を受けているかが一目で分かりますので、紹介事業者を選ぶ際の判断基準として利用できます。

採用活動を行う上で、人材紹介事業者とは長く付き合っていくことになります。本制度を有効活用して、人材不足解消を目指しましょう。

賃上げ促進税制について

新たな職員を採用するなどして人件費が一定以上増加した場合、税務面で検討できるポイントに賃上げ促進税制があります。この賃上げ促進税制については、以下のブログにて詳しく紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

昨年12月に公表された令和6年度税制改正大綱においては、職員採用・人件費アップを通じて賃上げ促進税制が適用しやすくなるよう制度の拡充が行われました。また繰越控除制度も新設され、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額が5年間繰り越せるようになります。

さらに医療・介護分野では、看護職員処遇改善評価料などの処遇改善にかかる加算分を賃上げ額から除かなくてよい取り扱いになります。新たな職員を採用した年度には、賃上げ促進税制の適用が受けられないか確認されてはいかがでしょうか。

※上記、拡充される賃上げ促進税制について適用の対象となる期間が法人と個人事業主とで異なります。
法人:令和6年4月1日~令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度
個人事業主:令和7年~令和9年までの各年

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