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いまさら聞けない! 医療機関発行の領収書と印紙の取扱いについておさらいしましょう

記事作成日2023/07/26 最終更新日2023/07/26

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今回のブログでは、医療機関や調剤薬局などで発行する領収書に貼付する印紙税について解説します。税務調査で印紙について指摘されることもありますので、留意しましょう。

医療機関の領収書に印紙は必要か?

売上代金に係る金銭の受取書(いわゆる領収書など)は受取金額が5万円以上の場合に、その領収書に印紙を貼る必要があります。

病院や診療所で診察をし患者さんに領収書を渡す場合、5万円未満であれば社会保険診療・自費に関わらず、印紙を貼る必要はありません。

しかし、入院費や歯科のインプラント治療をしたような場合には、窓口での負担額が大きくなり5万円以上になるケースも出てくると思います。ではこの場合に、患者さんに渡すこととなる領収書には印紙を貼る必要があるのでしょうか?

印紙税法では、「営業に関しない受取書」には、印紙を貼る必要はないとされています。つまり、医療行為が「営業に関するもの」かどうかというのがポイントになります。印紙税法の基本通達では以下のように定められています。

<医師等の作成する受取書>
医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う。

よって、医師や歯科医師の医療行為は営利行為として評価されないため、その業務上作成するものであれば、印紙は不要ということになります。

審美目的の矯正治療や美容皮膚科におけるレーザー治療などの自由診療も医師や歯科医師の医療行為となりますので、印紙は不要となります。

<法人組織の病院等が作成する受取書>
営利法人組織の病院等又は営利法人の経営する病院等が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当しない。なお、医療法(昭和23年法律第205号)第39条に規定する医療法人が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当する。

医療機関の中には、施設数は少ないですが営利法人が運営する病院等があります。

営利法人(会社法により設立される法人)は、営利を目的として設置される法人のためその法人が行う行為は営業に関するものとなります。よって、営利法人組織の病院等が発行する受取書は、それが医療行為であっても営業に関するものとして印紙が必要になります。

ただし、医療法で定められた医療法人が作成するものであれば、印紙は不要です。
法人の形態によって取り扱いが異なりますので、注意しましょう。

調剤薬局の領収書に印紙は必要か?

それでは、調剤薬局における印紙の取扱いはどうなっているのでしょうか。

前述の通り、医師等の作成する受取書は営業に関しない受取書のため印紙税が非課税となっています。この医師等の”等”には薬剤師も含まれるため、薬剤師が作成する受取書にも印紙は不要です。

ただし、調剤薬局が法人運営(株式会社)の場合には注意が必要です。
株式会社は営利法人という扱いになり、営利法人が発行する領収書は印紙税が課税されます。受取書自体は薬剤師個人が作成していたとしても、その発行主体が株式会社となるため課税されてしまうことになります。

誤って収入印紙を貼ってしまった場合の対応は?

では、万が一、印紙不要の領収書に誤って印紙を貼ってしまった場合は、どう対処するのかについてご説明していきます。誤って収入印紙を文書に貼ってしまった場合は、税務署に対し還付申請をする必要があります。

還付を受ける方法:
誤って印紙を貼り付けた文書と下記「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を提出

国税庁:令和5年5月 印紙税の手引きP17,18より

また、未使用の印紙や白紙又は封筒に貼り付けられた収入印紙は郵便局で交換することができます。(1枚につき5円の交換手数料がかかります)

印紙税は税務調査で指摘が多い?

税務調査の中には、印紙税税務調査と呼ばれる調査があります。(詳しくはこちらのブログをご覧ください)前述の通り、医療機関の発行する領収書には印紙を貼る必要はありませんが、印紙を貼る必要のある課税文書は領収書だけではなく、契約書等も含まれます。

過去には、税務調査で契約書への印紙の貼り付けがないことを指摘され過怠税が課せられた事例もあります。こういった文書等への印紙の有無は個別に判断する必要がありますので、是非TOMAへご相談ください。

TOMAでは税務調査立会サービスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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<出典・参考>
国税庁HP:印紙税の手引き
国税庁タックスアンサー:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

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