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消費税の総額表示の義務化  医療機関における対象取引や、その表示方法について

記事作成日2021/05/12 最終更新日2021/05/12

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■総額表示義務化の経緯

令和3年4月1日より、消費税の総額表示が義務化されます。
「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、
値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、
消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。

この総額表示義務化は元々、平成16年(2004年)に始まりました。
消費税を含めた総額で料金を提示することで、
消費者が支払う価格を一目で把握できるようにする目的で、総額表示が義務化されました。

しかし、消費税率が5%から8%へ引き上げられた際に、
値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、
「表示価格が税込価格だと誤認されない措置」を取っていれば、
税込価格を表示しなくてもよい特例(消費税転嫁対策特別措置法)が設けられました。

この特例が、平成25年(2013年)10月1日から、令和3年3月31日までだったため、
今年の4月から、特例が失効し、再び総額表示が義務化されました。

■総額表示義務の対象者、医療機関における表示義務の対象となる取引

総額表示義務の対象となるのは、消費税の課税事業者です。
課税事業者とは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者になります。
基準期間とは、個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度を指します。

医療機関における課税売上高とは、予防接種などの自由診療収入や物販売上が該当します。
そして、これらの役務提供や販売の料金を表示する際に、総額表示が義務付けされます。
保険診療については、消費税の非課税取引となるため、課税売上高に該当しません。

なお、消費税の免税事業者については、取引に課される消費税がないことから、
今回の義務化に関わらず、消費者が支払うべき金額を表示することとなります。

また、総額表示が義務付けられるのは、消費者に対して価格表示をするときで、
事業者間での取引は、総額表示義務の対象とはなりません。

■対象となる表示媒体

商品に添付される値札、ホームページにおける広告など、
どの表示媒体であるかを問わず、総額表示が義務付けられます。

医療機関においては、体温計や歯ブラシなど、消費者に対して販売する商品の値札や、
待合室の壁に貼り付ける価格表、
健康診断やインプラントなどの役務提供に係るホームページの料金表示などが対象となります。

■表示方法

以下の表示が、「総額表示」に該当します。
支払総額(画像の例では10,780円)が明瞭に表示されていれば、
税額・税抜価格が表示されていても問題ありません。

出典:財務省

反対に、以下の表示は「総額表示」に該当しません。

出典:財務省

これまで、上記のような表示を見かけることも少なからずありましたが、
現在、上記のような表示はできないため、ご注意下さい。

総額表示義務化は既に始まっているため、実際に街中で総額による価格表記を見ることができます。
上記例の中の「9,800円(税込10,780円)」のような、
税抜価格を明記する表示が多い印象を受ける一方、
価格表記を分かりやすくするため、
税込価格である「10,780円」のみの表示も見かけることがあります。

今回の総額表示義務化をはじめ、消費税は、時限措置や改正などが多い税目です。
より詳しい情報をお求めの際は、TOMAまでお問い合わせ下さい。

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