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社団法人、財団法人、NPO法人の違いをわかりやすく解説します【まるわかり比較表無料配布】

記事作成日2023/01/30 最終更新日2023/02/28

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法人を設立するにあたり、「社団法人・財団法人・NPO法人の違いを知りたい」とお考えの経営者の方は多いでしょう。この記事では、これら3つの法人の違いのほか、税制上の優遇措置のある「認定」を受ける方法についても詳しく解説します。

また、法人設立の際に必要な手続きを知りたい方、専門家に相談すべきか迷っている方の参考になる情報もお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

SDGsの浸透により、社団法人、財団法人、NPO法人の設立が活発化している

「2030年までに国際社会がめざすべき共通の目標 」として設定された、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の浸透にともない、近年は企業による社団法人・財団法人・NPO法人の設立が活発化しています。

参考:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組|外務省

企業としてSDGsを展開する際に重要となるのが、CSV(Creating Shared Value)です。CSVは「共通価値の創造」と訳され、企業の事業活動を通じて社会的課題の解決を目指し、企業的価値と社会的価値を両立させようとする考え方 のことを指します。

このCSVの一環として、多くの先進的な企業が社団法人・財団法人・NPO法人の設立を進めているのです。

社団法人、財団法人、NPO法人の活用例

社団法人・財団法人・NPO法人の設立は比較的容易なだけでなく、税務面を中心としたメリットもあるため、経済活動と社会貢献を両立させる手段の一つとしておすすめです。具体的には、以下のような活用事例があります。

・社会貢献活動として

震災復興支援、高齢者支援、子育て支援など、社会的課題を解決するための法人を設立することで、企業のイメージアップや行政との連携効果を期待できます。

・事業承継対策・自社株対策として

配当還元方式を利用した事業承継 を行なったり、従業員持株会からの株式買い取りの受け皿としたりするために、法人を設立するケースもあります。

・資産管理対策として 

資産保全・相続対策として、不動産管理法人を設立する方法があります。リスク管理として、倒産隔離を検討している場合にも有効な手段です。

・産業振興・地域振興として 

業界団体・研究団体などの任意団体を法人化すれば、信頼性の向上が見込めるため、産業振興・地域振興につながる活動がしやすくなります。

そもそも、「社団法人」「財団法人」「NPO法人」とは?

社団法人・財団法人・NPO法人には、それぞれどのような特徴があるのか、疑問を感じている方もいるでしょう。そこで本章では、各法人の概要をわかりやすく解説します。

社団法人とは? 

社団法人は、ある共通の目的を持って集まった「非営利の団体」に付与する法人格です。そのため、社団法人の事業で利益を得たとしても、それを構成員に配当することはできません。団体の活動の用途にのみ剰余金を利用できるという点が、株式会社などの企業とは異なるところです。

社団法人は、「一般社団法人」と「公益社団法人」の2種類に分けられます。

・一般社団法人

一般社団法人は、登記のみで構成員2人から設立が可能 です。また、出資金も不要なため、法人設立のハードルは比較的低いといえます。一般社団法人の運営資金として、返済義務のある負債にはなりますが、構成員や構成員以外の第三者から拠出を受けて調達することも可能です。このような資金調達方法を「基金制度」といいます。

・公益社団法人

団体の「非営利性」だけでなく、事業内容の「公益性」が認められる場合、公益社団法人となって税制上の優遇措置を受けることができます。

公益社団法人とは、行政庁(内閣府または都道府県)による公益認定を受けた社団法人のことですが、公益社団法人になるには、まず一般社団法人を設立し、その後公益認定を受けて、公益社団法人として登記するという手順が必要です。

財団法人とは?

財団法人は、ある共通の目的のもとに拠出(寄贈)された「財産」の集まりに付与する法人格です。一般的な法人との大きな違いは、「人」の集まりではなく「財産そのもの」を意味するという点で、当該財産の運用益が財団法人の運営資金のおもな財源となります。

財団法人には、「一般財団法人」と「公益財団法人」の2種類があります。

・一般財団法人 

一般財団法人は登記のみで設立可能ですが、評議員および理事を各3人以上、監事1人以上を集める必要があり、設立者が兼務する場合で少なくとも7人の役員を要します。 その他、300万円以上の財産を拠出すること、その運用益を運営資金とすることが、一般財団法人の設立条件 です。

一般財団法人をさらに細分化すると、「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人」に分けられます。

非営利型法人は、利益の分配を行なわない一般財団法人です。ただし非営利とはいっても、利益の分配を行なわないだけで、事業によって利益を上げることには何の問題もありません。非営利型法人の場合、収益事業の所得のみが課税対象となるという税制上のメリットがあります。

一方、非営利型法人以外の一般財団法人は、事業を営むうえで非営利性を強制されません。ただし、法人税法上は普通法人として扱われ、すべての所得に対し課税されます。

・公益財団法人

公益財団法人とは、行政庁(内閣府または都道府県)による公益認定を受けた財団法人のことです。公益社団法人と同様に、公益財団法人になるには、まず一般財団法人を設立し、そのあとで公益認定を受けます。

公益財団法人のメリットは、公益目的事業の所得が課税対象にならないという税制上の優遇 措置がある点です。現在のところ、「学術及び科学技術の振興を目的とする事業」「高齢者の福祉の増進を目的とする事業」など、23種類の事業が公益目的事業として認められています。

23種類の公益目的事業については、以下のリンクをご確認ください。
参考:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 別表(第二条関係)|e-Gov法令検索 

NPO法人とは?

NPO法人(Non-Profit Organization:特定非営利活動法人)は、特定非営利活動を行なう団体に付与する法人格です。特定非営利活動とは、不特定多数の人の利益を実現する目的で行なわれる、NPO法で定められた 20分野の社会貢献活動のことを指します。例えば、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「社会教育の推進を図る活動」「まちづくりの推進を図る活動」など です。

20分野の社会貢献活動については、以下のリンクをご確認ください。
参考:特定非営利活動(NPO法人)制度の概要 特定非営利活動とは|内閣府 

なお、NPO法人を設立するには、理事3人以上、監事1人以上が必要 で、さらに常時10人以上の構成員を有することが要件 となっています。

社団法人、財団法人、NPO法人の違い

ここまで解説してきた社団法人・財団法人・NPO法人の概要をもとに、各法人の違いをまとめます。大きく違うところは、以下の4点です。

(1)「運営基盤」の違い
・社団法人:ある共通の目的を持つ「人」の集まり
・財団法人:ある共通の目的のもとに拠出(寄贈)された「財産」の集まり
・NPO法人:特定非営利活動の実施を目的とする「人」の集まり

(2)「組織形態」の違い
・社団法人:「構成員≒株主」「理事≒取締役」のように、株式会社に一部類似した組織形態がある
・財団法人:財産の集まりであり、構成員の概念はない
・NPO法人:構成員(社員総会での議決権を持つ正会員)・理事・監事により構成される

(3)「設立要件」の違い 
・社団法人:構成員2人以上
・財団法人:拠出財産300万円以上
・NPO法人:構成員10人以上

(4)「運営資金」の違い
・社団法人:構成員などが拠出する基金を運営資金とし、設立時に必要な金額の規定はない
・財団法人:設立時に出資者から300万円以上の財産の拠出(寄贈)を受け、その運用益を運営資金とする
・NPO法人:構成員の会費、支援者からの寄付金、政府の助成金などを運営資金とし、設立時に必要な金額の規定はない

「公益法人制度」の認定を受ける方法

2008年12月に公益法人制度改革関連三法が施行され、公益社団法人および公益財団法人は、税制上の優遇措置を受けられるようになりました。くわえて、公益法人の認定を受けることにより、組織としての社会的信用を高める効果も期待できます。したがって、社団法人や財団法人を設立するなら、ぜひ公益認定の取得を目指したいところです。

以下に挙げる公益認定の基準や申請先について、概要を把握しておきましょう。

公益法人認定の基準 

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条」で定められた、公益認定のおもな基準は以下のとおりです。

  • 公益目的事業を行なうことを主たる目的としていること
  • 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を超えないと見込まれること
  • 公益目的事業比率が50%以上であると見込まれること
  • 遊休財産が一定額を超えないと見込まれること
  • 同一親族等が理事または監事の3分の1以下であること
  • 公益認定取消し等の場合、公益目的で取得した財産の残額相当額の財産を類似の事業を目的とする他の公益法人に贈与する旨を定款で定めていること


その他、暴力団が支配する法人や、定款または事業計画書の内容が法令に違反する法人など、欠格事由に該当するときは公益認定を受けられません。

参考:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律|e-Gov法令検索

公益法人認定の申請先

公益認定の申請先には、以下2パターンがあります。

(1)内閣総理大臣
公益目的事業を2つ以上の都道府県の区域内で行なう公益法人や、国の事業と密接に関わる公益事業目的を持つ公益法人は、内閣総理大臣に公益認定を申請します。

(2)事務所所在地の都道府県知事
(1)の条件に該当しない公益法人は、事務所を置いている区域の都道府県知事に公益認定を申請します。

公益認定の申請の手引き、申請書一式などは、以下のページで確認できるので、申請の際には必ず目を通しておきましょう。
参考:国・都道府県公式公益法人行政総合情報サイト|公益法人information 

「認定NPO法人制度」の認定を受ける方法

税制上の優遇措置を受けられるのは、公益社団法人や公益財団法人だけではありません。NPO法人については、1998年12月に特定非営利活動促進法が施行され、さらに2001年10月には認定特定非営利活動法人制度が創設されました。これにより、NPO法人も認定を受けることで税制上の優遇措置を受けられるようになっています。

認定NPO法人の基準

「特定非営利活動促進法 第45条」で定められた、認定NPO法人になるためのおもな基準は以下のとおりです。

  • パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(特例認定は除く)
  • 事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
  • 運営組織および経理が適切であること
  • 事業活動の内容が適切であること
  • 情報公開を適切に行なっていること
  • 事業報告書等を所轄庁に提出していること
  • 法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと
  • 設立の日から1年を超える期間が経過していること


参考:認定制度について|内閣府NPOホームページ

NPO法人の場合も、暴力団が支配する法人や、定款または事業計画書の内容が法令に違反する法人など、欠格事由に該当する場合は認定を受けられません。

認定NPO法人の申請先

認定NPO法人になるには、認定申請書を所轄庁に提出します。その際には、寄付者名簿、認定基準に適合する旨および欠格事由に該当しない旨を説明する書類、寄付金を充当する予定の事業内容を記載した書類などの添付が必要です。所轄庁によって各書類の様式が異なる場合があるため、事前確認を行なったうえで準備を進めましょう。所轄庁一覧は、以下のページに記載されています。

参考:所轄庁一覧|内閣府NPO

申請後、所轄庁の実態確認を経て、前述の基準を満たしていれば認定を受けられます。ただし、認定申請書の提出日を含む事業年度の初日時点で、設立日から1年を超えていなければならない点に注意しましょう。

社団法人、財団法人、NPO法人に関するよくあるQ&A

社団法人・財団法人・NPO法人に関する、よくあるQ&Aを紹介します。

Q:法人の活動に何らかの制限はありますか?

A:社団法人・財団法人の場合、活動に制限はありません。ただしNPO法人の場合は、NPO法で定められた特定非営利活動のみに限られます。

Q法人設立に費用はかかりますか? 

A:社団法人・財団法人を設立する際には、定款認証手数料や登録免許税など、約11万円の法定費用がかかります。また財団法人は、設立時に300万円以上の財産拠出が必要です。

一方、NPO法人の場合は法定費用がかからず、設立時に必要な金額の規定もないため、少額の資金で設立できます。

Q法人設立の手続きは個人でもできますか?

A:法人設立の手続きは個人でも可能ですが、煩雑な作業が多く、ある程度の専門知識も必要です。手間や時間をかけず、不備なくスムーズに手続きを進めるには、法人設立の専門家に相談するのが無難でしょう。

Q一般社団法人において会員制度を採用し、会費を徴収することはできますか?また、その際、会費の徴収は必須でしょうか?

A:会費の徴収は可能ですが、必須ではありません。正会員・賛助会員などの種別を設け、それぞれに会費を設定するような運用方法が一般的です。会員制度を採用する際には、あらかじめ会費規程などで詳細を明らかにしておくとよいでしょう。

Q社団法人から財団法人へ法人格を変更できますか?また社団法人と財団法人の合併は可能ですか?

A:社団法人から財団法人への法人格の変更はできません。法人格を変更したい場合は、一度組織を解散・清算し、新しく法人を設立する必要があります。

一方、社団法人と財団法人の合併は可能です。 合併前に社団法人がすべての基金を清算していれば、合併後に存続させる法人は社団法人・財団法人のどちらでも問題ありません。

Q公益法人になれば、補助金を受けやすくなりますか?

A:公益法人になったからといって、補助金を受けやすくなることはありません。補助金の交付は、その交付目的や申請者の事業内容に応じて決定されるためです。補助金採択を目的に公益法人の設立を考えている方は、ご注意ください。

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社団法人・財団法人・NPO法人は、それぞれ運営基盤・組織形態・設立要件・運営資金に違いがあります。具体的な違いを踏まえたうえで、事業内容などを考慮しつつ、的確な法人を設立することが重要です。

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