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緊急事態宣言下における社員総会の書面開催について

記事作成日2020/04/27 最終更新日2022/03/23

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緊急事態宣言下における外出自粛要請等が言われている中(2020年4月27日現在)で、公益法人の皆様、特に社団の方にとってはこれから開催を予定している社員総会をどのように開催すべきか悩まれている方も多いかと思います。

そこで今回はお問い合わせの多い、社員総会の書面開催について整理したいと思います。

書面開催という言葉の誤解

緊急事態宣言下では社員(会員)を招集することが困難であるため、実開催はせずに書面で社員総会を開催することができないか、といったお問い合わせを多くいただきます。ネット等で書面開催可能と記載されている記事も散見しますが、書面開催という言葉は正確な言い回しではありません。正確には社員(会員)全員同意によって決議自体を「省略」する方法と、総会自体は開催するも、委任状や議決権行使書といった書面を用いることで、議決権行使を書面にて行うことができる方法とに分類されます。

開催方法

決議の省略(一般法人法第58条)

実際に開催せずに決議を省略できるという制度があります。会議の目的である事項について提案をした場合において、社員(会員)の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の決議があったものとみなされる、というものです。全員同意が明らかであれば実際に集まらなくてもOKであるということです。ただし議事録の作成は必要です。

注意点としては、一人でも反対の方がいると、決議の省略はできないという点です。反対する方がいらした時点で再度招集手続き等を行う必要がありますので、全員から同意を得られることが可能かどうか、よく見極めてから行うべきです。

書面による議決権の行使

こちらは総会自体を実際に開催していただく必要があります。ただし社員(会員)の方の議決権行使の機会を保証するために、当日の総会に参加せずとも事前に委任状や議決権行使書を提出することで、総会に出席して議決権を行使したのと同様の効果を保証するものです。詳細は以下です。

(1)議決権の代理行使(一般法人法第50条)

いわゆる委任状による方法で、代理人が議決権を行使する方法です。

(2)書面による議決権行使(一般法人法第38条、39条、41条、42条、51条、52条

議案への賛否を記載した議決権行使書面を郵送等で提出してもらうことによって決議する方法です。

上記の委任状や議決権行使書も総会開催の要件である定足数を満たすことになりますので、参加者が少ない状況で総会を開催することが可能となります。緊急事態宣言下において、社員(会員)の方の当日の参加をなるべく控えて頂くために、事前に委任状や議決権行使を提出頂くことを呼び掛けて、少ない人数で総会を開催するといった形になるかと思います。現実的にはこの方法を採用される法人様が多いように思います。

これを行うには理事会にて総会開催にかかる招集手続きを決定する際に、書面による議決権行使ができることを定めることが必要となります(一般法人法第38条)。

TOMAグループの緊急事態宣言下での支援

緊急事態宣言下で混乱が続き、皆様も大変なご苦労をされているかと思いますが、社員(会員)をはじめ事務局の皆様の安全を第一と考え、いわゆる三密を防ぐ方策として適切な方法を選択されることを祈念しております。

TOMAグループでは公益法人様向けの会計、税務、運営等にかかる各種ご相談を承っておりますが、上記運営方法にかかるご相談はもちろん、テレワークやテレビ会議等の導入に伴う各種支援・ご提案も可能です。ご用命ありましたら是非お問い合わせ頂ければ幸いです。