2025年春闘では中小企業で6%の賃上げ要求が見込まれるなど、2024年に引き続き、賃上げに対する動きは活発化しています。
しかしその一方で、一度上げた賃金はなかなか下げにくいこともあり思い切った賃上げに踏み切れていない会社も多いのが現実です。そこで今回は、賃上げに対する正しい知識と考え方をはじめ、利益拡大と賃上げを両立するための経営戦略について紹介します。
目次
中小企業を取り巻く賃上げの現状
人手不足が深刻化し、大企業と中小企業との賃金格差も声高に叫ばれている今、人材の確保やモチベーション維持のために賃上げは避けて通れない課題となっています。
賃金を上げられない状態が長く続くと、大企業をはじめ中小企業でも好待遇を提示する会社に優秀な人材が流出してしまったり、採用ができなかったりと数年後には事業が立ち行かなくなってしまうかもしれません。賃上げはもはや選択肢ではなく、中小企業が取り組むべき経営の最重要課題だと言えます。
中小企業が思い切った賃上げに踏み切れない理由
・大企業に比べ収益力・財務基盤が弱い
・固定費の増加となるため財務構造への影響が大きい
・不透明な将来へのリスク回避意識
『未来会計』の導入で、賃上げできない問題・課題を解決
賃上げの重要性を理解していても、大企業に比べて財務基盤が弱く、経営資源に限りがある中小企業にとって、一番の問題が賃上げ原資の確保ではないでしょうか。この原資(=人件費総額を上回る利益)を得るため、そして賃上げを実行するために大切なのが、未来を見据えた2つの視点です。
視点1 未来会計~未来会計によって得られる利益を賃上げ原資にする~
『未来会計』とは、過去の会計データに基づいて将来を予測する一般会計と違い、将来のあるべき理想の姿を実現するために、そこから逆算することで、今どのような行動を取るべきかを考える経営手法です。
社員数、店舗数、手掛けている事業など、5年後の自社がどうなっていれば利益最大化を実現できるのか。『未来会計』は理想の未来を思い描くことから始まります。
「5年後の自社の姿」と、それを実現するための道筋を明確にするために、数値計画や行動計画に落とし込んだ中期経営計画を立てましょう。
視点2 未来費用~賃上げはコストではなく、未来への投資と位置づけ、未来会計を基点として社員を巻き込む経営を行う~
短期的に考えれば、賃上げ(人件費の上昇)は利益を圧迫する可能性がありますが、これは一時的なもの。人件費はコストではなく、広告費や教育費と同様の「未来費用」です。つまり賃上げは会社への将来的な貢献を見込んだ人材への投資であり、未来に安定した利益を生み出すための計画的な支出なのです。
【賃上げがもたらす効果】
・従業員のモチベーション・エンゲージメント向上
→パフォーマンスUPで生産性向上
・大企業との賃金格差の是正(賃金水準確保)
→優秀な人材の確保・流出阻止
未来会計の第一歩は、経営者の想いを形にすること
会社の目的・ビジョンを見つめ直し、将来の目標を明確にしたうえで戦略・戦術に基づき計画を策定。それを実践し、結果を振り返り改善するというPDSサイクルを回し続けます。これによりマイルストーンとなる目標を達成していくことで、5年後に設定した理想の未来にたどり着けるのです。
➀理念に基づいた将来のビジョンを考える
経営理念に基づいてビジョンを明確にすることで、方向性にブレのない中期経営計画を策定できます。
➁目標達成のプロセスを言語化・数値化する
達成基準を数値化することで、目標達成への行動を明確にし、継続的な改善を促します。
『未来会計』の基本的な流れ
CHECK!①:予実対比の注意点
・数値比較だけでなく、なぜ差異が生じたのかを詳細に分析する。
・一度だけではなく、定期的に実施し、改善状況を継続的に把握する。
・感情的な判断ではなく、客観的なデータに基づいて分析を行う。
CHECK!②:教育研修の重要性
なぜ自社の現状を把握するのか?なぜPDSを回すのか?など、すべての行動の重要性を理解するための研修を行うことが重要。また、人材の育成による組織活性化の意味でも教育研修は不可欠です。
各プロセスでしっかりと数値目標(KPI)を立てて課題を解決することが大切です。具体的な数値(=結果)とリンクした行動が中期経営計画の質を高めます。
『未来会計』の効果
・理想像を定めることで「信頼できる指針」ができ、経営判断にブレが生じない。
・将来のキャッシュフローを予測することで設備投資や借入など、将来を見据えた経営判断を行える。
・理想と現状の差を把握することで中期的な経営計画を具現化し、今すべき行動指針も明確化できる。
・経営者の目標・想いを社員に周知・浸透・共有させ全社員で達成に向かう組織力を構築できる。
利益最大化を実現する中期経営計画策定
『未来会計』で策定するのは単なる損益計画ではなく、現状分析とビジョンの明確化を徹底的に行い、組織が一丸となって未来の成功を目指すことができる中期経営計画です。
財務、総務、会計、人事など、経営計画に関わる幅広い分野の問題・課題に対して、専門的かつ的確なノウハウを提案できるTOMAなら、利益最大化への思いを組織全体で共有し、実現していける中期経営計画づくりをワンストップで支援できます。
賃上げ検討はもちろん、理想の未来につながる行動計画を考えたい、または見直したいとお考えの際はぜひ、TOMAにご相談ください。
中期経営計画をサポートするTOMAのMAS監査サービスは以下よりご覧ください。