新型コロナウィルス感染症の影響を受け、納税が困難な事業者に向けた納税猶予制度(以下「特例猶予」)が令和2年4月に創設されました。特例猶予は最大で1年間国税の納税が猶予されるほか、猶予期間中の延滞税が発生しない制度となっており、特例猶予を活用された事業者も多いかと思います。
資金繰りが厳しい事業者は、今後も特例猶予の活用を検討されているかと思いますが、残念ながら令和3年2月1日をもって終了いたしました。
今回は、特例猶予に代わる納税猶予制度を2つほどご紹介したいと思います。
換価の猶予の効果と要件
効果
(1)原則として1年間納税が猶予される
(2)猶予期間中の延滞税が軽減される
通常:年8.8%→軽減後:年1.0%(令和3年中の割合)
(3)財産の差押えや換価(売却)が猶予される
要件
(1)国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
(2)納税について誠実な意思を有すると認められること
(3)猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
(4)納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に換価の猶予申請書が所轄の税務署に提出されていること
(5)原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること(注1)
(注1)次の①~③までのいずれかに該当する場合には、担保の提供をする必要はありません。
①猶予を受ける金額(未確定の延滞税を含む)が100万円以下である場合
②猶予を受ける期間が3ヶ月以内である場合
③担保を提供することができない特別の事情がある場合
納税の猶予の効果と要件
災害等の個別の事情がある場合に受けることができます。個別の事情(以下「猶予該当事実」)の具体例を以下になります。
(1)納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
(2)納税者が事業を廃止し、又は休止したこと
(3)納税者が営む事業について利益の減少等により、著しい損失を受けたこと
効果
(1)原則として1年間納税が猶予される
(2)猶予期間中の延滞税が軽減又は免除される
通常:年8.8%→軽減後:年1.0%(令和3年中の割合)
(3)財産の差押えや換価(売却)が猶予される
要件
(1)猶予該当事実があること
(2)猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないこと
(3)納税の猶予申請書が所轄税務署に提出されていること
(4)原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること(注2)
(注2)「換価の猶予」の申請の場合と同様
まとめ
今回は特例猶予に代わる納税猶予についてご紹介しました。新型コロナウィルス感染症の影響で苦しまれている事業者は少なくないと思います。そんな中でのキャッシュアウトに困っている方も多いのではないでしょうか。資金繰りに悩まれている方は今一度制度の確認をしてみてはいかがでしょうか。
TOMA税理士法人では、税制改正や新型コロナに関する補助金等、様々な相談を承っております。
是非、お気軽にご連絡ください。