過去数年分の申告について誤りがないか確認される税務調査。
できれば受けたくないものですが、調査が入った場合の注意点を知っておいて損はありません。
今回は、税務調査対応時の注意点をご紹介していきます。
■税務調査は拒否できるが罰則あり
そもそも、「税務調査自体を拒否したい」という方もいらっしゃるかと思います。
拒否はできますが、その場合罰則があります。
どういった罰則があるのか、どういう場合に罰せられるのかを確認しましょう。
◇税務調査を拒否した場合の罰則
税務調査を拒否した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
国税通則法第128条にこの規定があり、『当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者』について、『1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。』とあります。
(国税通則法第百二十八条より引用)
◇質問への無回答・嘘・検査等の拒否は罰せられる
国税通則法第128条を簡単にすると、
・調査官の質問に答えない
・調査官に偽りの回答をする
・調査官の検査・採取・移動を禁止する
以上の行為を行ったものに対し、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰が与えられます。
調査官の質問には必ず正直に答え、調査の邪魔をしないようにしましょう。
ただし、調査官側にも禁則事項があります。
法人の場合、役員や経理責任者は調査官の質問に答える義務がありますが、通常の従業員にその義務はありません。
また、事業に関係のない私物や居宅についても、本人の明示の同意がない限り、調査することはできません。
調査官に協力するのはもちろんですが、調査官が調査権限を逸脱した場合は、はっきりと拒否しましょう。
■税務調査中の注意事項
◇応接対応
まず、調査官は仕事で来ています。
昼食など食事の用意は不要です。
過度な接待は「何か後ろめたいことでもあるのでは…?」と疑われてしまいます。
逆に、調査官に敵意むき出しで対応するのも考えものです。
調査官も人間ですから、敵意を向けられればいい気はしませんし、そのせいで調査が長引くこともあります。
また、「そんなに敵意を見せるとは、何か隠しているのでは…?」と疑われることにもなりかねません。
調査官もスムーズに調査を終わらせたいので、謙虚かつ親しみやすい態度で接してくることが多いです。
調査が嫌でも、協力する態度をしっかりと見せて対応しましょう。
◇雑談
税務調査はいきなり書類の確認を始めるのではなく、雑談から入ります。
しかしその雑談も、不正を暴く手がかりを探すためのものです。
社長の家族構成や趣味、出身地からも、「育ち盛りの子供が2人もいる→この子供服は会社の経費にはならず、社長の私物では?」「野球が趣味→社内の野球大会にお金が必要以上に使われていないか?」「鹿児島県出身→鹿児島県への寄付金があるが、社長の個人的な寄付なのでは?」等の予測が立ちます。
雑談中も安心して余計なことを口走らないよう、常に用心しておく必要があります。
特に他人の経歴や交友関係を聞かれた場合、慎重に答えるようにしましょう。
調査官に真面目な印象を持ってもらえるよう、誠実に対応することが大切です。
◇税務調査官からの質問対応
税務調査官の質問は、社長の家族構成から売上げの詳細まで、多岐にわたります。
特に、社長の性格や趣味などについては、前回の調査の記録が残っており、今回の調査官に引き継がれている場合もあります。
適当に答えたり、ころころ答えを変えたりすると、調査官が疑問を抱いてしまい、さらに追求されることにもなりかねません。
質問には慎重に、疑われないよう目を見てはっきりと答えましょう。
税務調査はあらゆる切り口から不正が隠されていないか調べるものです。
不正がなければ心配することはありませんが、うまく説明できないと、不正がなくとも疑われてしまう場合があります。
税務調査については、その対策に詳しい顧問税理士に頼るのが一番です。
税理士は専門家ですから、過去の税務調査の経験も踏まえてうまく対応してくれます。
顧問税理士とうまく連携を取りながら、税務調査を乗りきりましょう