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税務調査の遡及年数が7年だと言われている根拠とは

記事作成日2020/03/25 最終更新日2023/04/18

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企業で税務申告書を提出してからしばらくしたのちに、税務署から「税務調査」の通知が届くことがあります。

これは、税務署に提出した税務申告書の内容と、実際の会計帳簿との整合性を確認するための調査です。税務調査が入った場合は、申告年度だけではなく、過去にさかのぼって調査に入ることがあります。

この遡及年数が7年間といわれるゆえんはどこからきているのでしょうか。

なぜ税務調査が入るのか

納税義務を果たしているにも関わらず、税務署の調査官から税務調査の対象となった旨の連絡が入ることがあります。内容によっては事前の通告もなしに担当官が来訪し強制的に調査が入ることもあります。

税務調査が入る理由としては下記が考えられます。

・取引先の企業に税務調査が入ったため、その反面調査として(取引先の企業との、取引に関する経理処理を確認したいなど)
・申告書の内容に不整合な点などが見られた場合、または計上された経費や仕入れ・売り上げの内容に不自然な点があることが見られた場合

このほかにも理由は多々ありますが、「組織再編を行った企業の初年度」などという理由で税務調査に入ることもあります。

税務調査は何年遡って請求されるのか

通常の税務調査の場合、申告を行った事業年度を含む過去3年分の帳簿に関して確認することが一般的です。総勘定元帳や現金出納帳などの「帳簿書類」を準備しましょう。ただし、税務調査の遡及期間に関して直接定めた法律や法令は存在しません。

その一方で、平成23年に公布された「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」において、国税について更正の請求ができる期間は法定申告期限から原則5年に延長されています。

このような理由から、通常でも過去5年分までの遡及で済むととらえて差し支えないでしょう。

帳簿書類の保管期間

税務調査の対象となる「帳簿書類」ですが、事業年度の確定申告書の提出期限翌日より7年間の保管が義務付けられています。
帳簿書類の対象は広く、会計に関する書類はすべて、棚卸表や注文書、契約書など売上に関する書類のほか、貸借対照表や損益計算書なども7年間保管しなければなりません。

なお、欠損金が生じた事業年度は「事業年度の欠損金の繰越期間」に応じて保存期間の延長が義務付けられているので気を付けましょう。

3年、5年、7年の違いとは

さて、いろいろな情報を合わせてみると、「税務調査の遡及期間は3年・5年・7年」というように多様な遡及期間が示されているようです。前の項目でも触れましたが、ここで一度まとめましょう。

・通常の税務調査…過去3年
・過去3年分の帳簿書類で問題が見つかった場合…過去5年
・脱税や税法上の見解の違いなどが見つかった場合…過去7年

帳簿の保管期限は7年間ですので、それ以上の帳簿を遡及することはありません。また、過去7年にさかのぼっての税務調査は、大企業の場合や悪質な脱税の手口が見つかった場合がほとんどです。タイトルにもある「7年の根拠」は、帳簿の保管期限に関係すると考えるとよいでしょう。

繰り返しとなりますが、こちらは法律で決まっている「更正期間」に基づくことですので、税務調査に入ることが分かった場合は、あらかじめ5年分の帳簿書類を準備しておくとスムーズです。ただし、「過去3年分」の指示が事前にあった場合は、3年分の帳簿書類のみを先に提示し、向こう2年分の帳簿書類はストックしておくとよいでしょう。

なぜ遡及期間は「通常3年」なのか

法律では「更正期間は過去5年」となっているため、本来ならば5年間分を調査することが筋です。ただし、中小企業でも1事業年度の帳簿書類は膨大な情報量です。それを、ひとつずつ順を追って確認するだけでも時間がかかる作業となります。

スクリーニングのような意味合いを込め過去3年分の調査とし、そこで問題がある処理が見られた場合はそこから2年間さかのぼり「5年分」とすることが多いようです。

納得のいく答えをもらおう

もし、「過去3年分」の帳簿書類の調査だけでは終了せず、「過去5年分」の税務調査へ移行することになった場合、税務調査官に必ず理由を聞くようにしましょう。

過去3年分の経理処理の内容で説明がつく場合や、当該年度の帳簿のみで更正ができる内容であればそれで調査は終了できるので、追加提示は不要と考えるのが自然です。それでも追加調査が必要になった理由を聞くことで、今後の経理処理に対する注意を促すこともできますし、次回税務調査が入った時の対応もしやすくなるはずです。

公正な経理処理をしていても多岐にわたる理由から、税務調査の対象となる場合があります。つまり、どんな法人でも税務調査の対象となるととらえましょう。

また、税務調査の遡及期間などを事前に覚えておくことで、突然の調査にも対応できる心構えができます。

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