短期前払費用の特例では、支払いから「1年以内に提供を受ける役務に係わるものである」という要件がありますが、該当しない例もあります。今回は、短期前払費用の特例(法人税法基本通達2-2-14)についてのポイントをご紹介したいと思います。
短期前払費用の特例とは?
費用は発生主義によって期間に対応するものが計上されることから、原則として前払費用は、その事業年度の損金の額に算入されません。
しかしながら、重要性の原則を考慮し、例外的に、法人が支払った前払費用でその支払いから1年以内に提供を受ける役務に係わるものは支払日の属する事業年度の損金の額に算入が認められています。
ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。
例外的取扱いの対象となる前払費用とは、下記の要件を満たすものをいいます。
1.一定の契約に従って、継続的にその期間中に等質・等量のサービス提供を受けるものであること
2.役務提供の対価であること
3.翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること
4.現実にその対価を支払っていること
このうち、支払日から1年以内に提供を受ける役務に係わるものを短期前払費用といい、法人が支出日の属する事業年度で損金の額に算入している場合には、これを認めるというものです。
短期前払費用に該当する具体例
具体的に短期前払費用に該当するものとしては、土地・建物の賃借料、保険料、借入金利子、信用保証料、手形割引料などが該当します。
例1:期間40年の土地賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の地代月額を支払う。
例2:期間20年の土地賃借に係る賃料について、毎年地代年額(4月から翌年3月)を3月末に前払により支払う。
例1・例2は、どちらの例も要件を満たしています。
短期前払費用に該当しない具体例
これに対して、一定の時期に特定のサービスを受けるためにあらかじめ支払った対価である前払いの旅費交通費、前払い給与などは前払金であって、前払費用には該当しません。
実務上のポイントとして、この取扱いは、法人が損金経理することが要件ですので、法人が費用処理していないものについて別表で減算調整することは認められませんのでご注意ください。
例3:期間10年の建物賃借に係る賃料について、毎年、家賃年額(4月から翌年3月)を2月に前払により支払う。
例3は、役務の提供時期(4月から翌年3月)が、支払時(毎年2月末)から1年を超えるため要件を満たさず該当していません。
税務リスクを洗い出すには?
税務リスクを洗い出すためには、日ごろから適切な処理・管理をしていくことが必要です。もし社内に税務に詳しい人がいない場合は、税理士の力を借りることをおすすめします。
TOMAコンサルタンツグループでは、豊富な立ち合い実績から得られたノウハウを基に、修正申告を求められた際の相談対応から税務調査に向けた対策支援、税務調査時の立会いなどトータルサポートしています。
現状の税務リスクを洗い出し、日ごろから適切な処理方法をアドバイスいたします。事前打ち合わせから当日の立ち会い、調査後の税務署との折衝まですべてお任せください。
■税務リスク無料診断サービス■
オンラインで行える税務リスク無料診断サービスを開始いたしました。税務対策状況をご回答と同時に点数化する事が可能となっております。是非税務リスク対策としてご活用ください。
>>税務リスク無料診断サービスはコチラから
国税局OBが9名在籍しているTOMAコンサルタンツグループだからこそ話ができる事例や最新の税務調査事情・対応の秘策に関するセミナーを実施しています。