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【税務コラム】税務調査における役員退職金のポイント

記事作成日2019/04/01 最終更新日2021/10/13

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役員退職金は損金算入が認められており、所得税においても税負担が少なくなるように優遇されていますので、特にオーナー会社では、その支給に恣意性が介入し、利益調整の目的があるのではないかと調査官に疑われやすい項目でもあります。

今回は、役員退職金について指摘を受けないような対策としていくつかご紹介させて頂きます。

支給額、支給日、支給額の算定方法を明確にしておく

その支給及び支給額が客観的に決定されているものであることを証明するために、退職金の支給について決議された株主総会の議事録の作成しておく必要があります。また、退職金規定等に算定根拠がない場合には、その算定根拠を明確にしておく必要があります。

その他にも、税務調査では損金算入の時期についても問題になることがあります。株主総会議事録は、退職金の損金算入時期の決定のためにも重要ですので、必ず作成するようにしましょう。

支給額が適正であることを明確にしておく

退職金規定等により、支給額の算定根拠が明らかだとしても、その支給額が無条件に損金として認められるわけではありません。役員退職金の支給額は、一般的に「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」により算定されることが多いかと思いますが、例えば功績倍率の決定にあたって恣意性が介入している場合には、税務上適正額とは認められない可能性が高くなります。

なお、不相当に高額とされた部分については、役員賞与として取り扱われるため、損金不算入となります。賞与として扱われてしまった場合には、源泉徴収を行う必要がありますので、源泉所得税の追徴も発生することとなってしまいます。

その会社にとって退職金の支給額が適正であることを十分に説明できる功績倍率等を定めておきましょう。

分掌変更の場合には、変更前後における給与額と、職務に変更があることを明確にしておく

退職金には実際に会社を退職する以外にも、代表取締役から監査役になるように、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合にも退職金を支給するケースがあります。

この退職金については、通達により以下の要件を満たせば損金として処理することが認められています。

・常勤役員が非常勤役員になった場合

・取締役が監査役になった場合

・分掌変更後の報酬が激減(おおむね50%以上の減少)した場合

しかし、通達の要件を満たしていたとしても実質的に退職したとは認められないと判断されれば分掌変更に伴う退職金は認められないという最高裁の判決もありますので、「実質的に退職したと認められるかどうか」ということが税務調査では主要な論点となってきます。

今回は3つの対策について説明させて頂きましたが、いかがだったでしょうか。
ご自身の会社ではこれら全てをクリアできていましたか?
突然の税務調査にも問題なく対応できる体制を整えておくようにしましょう。

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