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事業の撤退・縮小を目指すM&A

記事作成日2016/04/10 最終更新日2022/01/26

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M&Aというと事業の取得や統合に焦点が当てられがちですが、事業の撤退・縮小を目指すM&Aもあります。撤退・縮小がM&Aに含められるのは、事業の撤退・縮小にも多様性があり、単なる売却による資金獲得にとどまらない戦略性が存在するためです。

事業売却を積極的に実行することは、日本企業には馴染みにくい考え方でした。しかしバブル崩壊後あたりから事態は一変して、ノンコア事業を売却する一方で、コア事業に関連する分野については、積極的に買収を実施し、企業価値の増大を目指す企業が増えています。撤退・縮小が増加している背景には下記があります。

①ライフサイクルと撤退・縮小

どのような事業も誕生から成長、成熟、衰退にいたる特有のライフサイクルがあり衰退期における出口戦略は必ず検討を有する課題となります。事業の撤退・縮小のためのM&Aは出口戦略の手段の1つとなります。

②選択と集中

近年では、事業の「選択と集中」がクローズアップされ、事業領域を絞り込む傾向が強くなっています。この出口戦略の成功のためのポイントは下記があります。

①出口戦略の立案の難しさ

新規事業を立ち上げる場合は多くのコストと熱意を持ってあたりますが、業績が低迷した事業の撤退や出口戦略ということになると、比較にならないほど冷めており、実際に建設的にかつ熱意を持ってこれらの戦略を進めていくのはなかなか難しいものです。

②苦渋の決断

リストラ型撤退の場合には多額の損失や従業員の解雇など苦渋の決断が多く、リストラを行う理由より行わない理由のほうが容易に多く見つけることができます。そうであったとしても将来を展望する力、判断力、決断力が必要とされます。

③情報提供不足

M&Aに必要な情報はこれまであまり必要とされなかったこと、必要な情報が変化することから、トップに必要な情報が集まる仕組みを作る必要があります。

これまで日本企業では事業売却に関する抵抗感は強く、事業価値が劣化するまで意思決定できないケースも数多く見られました。しかし中長期戦略上、事業価値が毀損する前に売却してコア事業に注入することなどを検討すべきといえます。

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