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相続した土地・建物は、3年以内の売却で所得税が安くなるの?

記事作成日2016/06/24 最終更新日2016/06/24

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Q 相続した土地・建物は、3年以内の売却で所得税が安くなるのですか?

父が亡くなり、相続財産として長年父が住んでいた土地・建物を取得しました。持家がすでにあるので売却しようと考えています。売却すると譲渡所得として所得税が課税されますが、相続してから3年以内の売却であれば、所得税が安くなるのですか?
また、譲渡所得税の計算を教えてください。

A 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が適用可能です。

相続財産を譲渡した場合の所得費の特例の適用を受けることができます。一定期間内の譲渡であれば譲渡資産の取得費に相続税額の一定額を加算できます。

解説

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
この特例は、相続により取得した土地、建物を一定期間内に譲渡した場合には相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

特例を受けるには下記の要件を満たすことが条件になり、譲渡をした日の翌年3月15日までに確定申告をしなければなりません。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であり、相続税が課せられていること。
  2. 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにその財産を譲渡していること。

土地・建物の譲渡所得
土地・建物の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。(相続財産の場合、被相続人が取得をしたときから換算します。)
長期譲渡所得となるものは所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるものは、所有期間が5年以内の場合です。

課税譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除

  1. 譲渡価額とは、土地や建物の売却代金などをいいます。
  2. 取得費とは、譲渡した土地・建物の購入代金や、購入手数料、設備費、改良費なども含まれます。建物の取得費は所有期間中の減価償却相当額を差し引いて計算します。上記の特例が適用する相続で取得した財産に係る相続税額の一定額を含みます。
  3. 譲渡費用とは、土地・建物を売るために支出した仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙等の費用のことです。
  4. 特別控除は通常ありませんが、公共事業などのために土地・建物を売却した場合の特別控除等の特例があります。

課税譲渡所得金額に乗ずる税率は、所得税・復興所得税・住民税を含み、原則として長期が20.315%、短期が39.63%となります。

所有期間は、被相続人が取得したときから計算されます。
このケースのようにお父様が長年住んでいた場合には、長期譲渡所得となるので、相続後3年以内に売却するのであれば、相続税額のうち一定額を、譲渡所得金額計算時に控除する取得費に含めることが可能になるため、所得税が安くなります。

《参考条文》
所得税法第33条、措置法第39条第1項

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