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相続前に売買契約をした不動産を相続発生後に引き渡した場合、相続税・譲渡所得税の取り扱いはどうなるの?

記事作成日2017/06/23 最終更新日2017/06/23

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Q.相続前に売買契約をした不動産を相続発生後に引き渡した場合、相続税・譲渡所得税の取り扱いはどうなるの?

H29年1月  売買契約締結(+手付金受け取り)
H29年2月  売主死亡
H29年5月  売主の相続人へ相続登記&買主へ引き渡し(+残金受け取り)

この場合の、売主の相続税と、売却したことに伴う譲渡所得税の取り扱いはどうなりますか?

A1.相続税について

相続開始時における売買代金の残代金請求権(未収入金)が相続財産となります。 相続財産の価額は、路線価等を用いた土地の評価額ではなく、“売買代金-相続開始時までに受領した代金(手付金等)”となります。 また、財産が土地ではないため、小規模宅地等の特例を使っての減額の適用は不可となります。

A2.譲渡所得税について

譲渡があった日をいつとするかにより取り扱いが異なります。

(1)売買契約日
(2)引き渡し日

(1)売買契約日(H29年1月)を譲渡があった日とする場合

被相続人の譲渡所得となり、相続開始日の翌日から4か月以内に準確定申告が必要です。売却された不動産が被相続人のご自宅だったのであれば、他の要件を満たせば居住用財産の3,000万円控除や軽減税率の適用が可能です。また、かかった譲渡所得税に関しては、相続税申告時に債務として相続財産から控除することも可能です。この場合は、被相続人の方の所得となるため、相続税額は取得費に加算することはできません。

(2)引き渡し日(H29年5月)を譲渡があった日とする場合

相続人の譲渡所得となるので、通常の所得税と同様に、H30年3月15日までに確定申告が必要です。上記A.1の残代金請求権分に対する相続税額を取得費に加算することが可能です。また、同居をしていた相続人の方に関しては、他の要件を満たせば、こちらも居住用財産の3,000万円控除や軽減税率の適用も可能です。

どちらの基準で申告するのかは、納税者が選ぶことになります。 相続人が被相続人と同居していたかどうかや、売買契約時に手付金をいくらもらっていたか等に応じて税額が少なく済む方を選択することが可能です。

<<参考>>
国税不服審判所裁決事例(H9年5月14日裁決)

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