X、Y事業を営むA社を事業承継する場合に、3つの組織形態を比較します。
意思決定の迅速化
経営環境の変化が激しい今日において、意思決定が遅れることは企業にとって致命傷になりかねません。迅速な意思決定が可能な組織で後継者に引き継ぐことが重要です。
Case1 同じA社に属するため、Y事業の意思決定にX事業専任の幹部社員が関わります。 そうすると、過剰な説明や不要な議論が発生し、意思決定が遅れがちです。 Case2 A社はY社の親会社なので、Y事業の重要な意思決定にX事業専任の幹部社員が関わる可能性があります。 Case3 |
迅速な意思決定にはCase3が最も有利です。
後継者が育つのは?
後継者にいきなり企業経営のすべてを任せることは、後継者自身にとって重すぎる負担になりかねません。後継者は小規模な単一事業で経営経験を積むべきです。
後継者にY事業を任せることにしましょう。
Case1 Y事業の売上目標や、利益目標を管理することはできますが、 ファイナンスやキャッシュフローといった経営に必須の管理手法を経験できません。 Case2 Y社の不足した事業資金はA社が貸し付けるケースが大半で、ファイナンスやキャッシュフロー管理は中々身に付きません。 Case3 Y社は独立した会社に近く、前述のとおり、意思決定に関わる人数が少ない分、意思決定の範囲は広範囲に渡り、 |
後継者を育てるにはCase3が有利だといえます。
以上の観点から、複数の事業を営む経営者には、事業承継を計画するタイミングでホールディング会社設立の検討をお勧めいたします。