組織再編に伴い、法律に基づいて届け出が必要になります。これを怠ると双方の会社に不都合が生じてしまいます。ここでは、組織再編の際に必要な届出事項について、注意したい点も交えてまとめてまいります。
目次
■組織再編の違いによって届け出内容が異なる
会社の組織再編は大まかに分けて4つの手法(分割・合併・株式交換・事業譲渡)が存在します。後述しますが、会社法に関する届出はもちろんのこと、税法上の届出や、株券などの有価証券に関する届出などそれぞれの手続きが必要になります。また、組織再編を周知するための手続きも必要となります。
手続きが完了するまでは時間を要しますし、煩雑なものであることは間違いありません。こういったことから、M&Aの仲介会社や会社法に長けた司法書士や弁護士などの専門家を利用して、手続きの手ほどきを受けることも一案です。
■役員等変更登記・定款の変更
組織再編によって、取締役や役員に変更が生じた場合や、資本金や株式発行数を変更した場合、事業譲渡などによって事業の目的に変更が生じた場合は、会社登記を変更する必要があります。これは、いかなる形であり、会社組織に変更があった場合には必ず届出なければいけません。
もちろん、会社定款も変更しなければいけないので、株主総会で特別議決を受け、定款の変更を行ったうえで登記を行います。
◇吸収された企業も手続きが必要
吸収され、解散する企業も閉鎖登記を行う必要があります。
■合併・分割などで必要になる手続き
合併や会社分割などの組織再編で必要な手続きをまとめました。
◇債権者保護手続き
自社の債権者の利益を保護する目的で行われる手続きです。債権者にとって会社の組織再編によって債務状況の変化を懸念する見方も考えられます。組織再編を行う旨を通知し、異議がある場合はそれを述べる機会を与えます。
異議申述の権利を定めた官報公告を行った後に個別に債権者へ催告を行います。債権者へ債権者保護の権利を与える期間は最低1ヶ月間が必要になります。異議がない場合、異議に対する対処が完了してから会社登記を行います。
◇このほかに行うべき手続き
①既存株主で、組織再編に反対する人や新株予約権者に対して、その権利や株券を会社が買い取ることができる権利を行使できる旨を通知します。
②株主総会を開催し、組織再編の承認に関する特別決議を受けます
③会社分割の場合は、労働者承継の手続きがなされます。
■金融商品取引法に関する手続き
株式の交換や交付などを条件とした組織再編(合併や分割、株式交換や移転など)の場合には、金融商品取引法上の手続きがあります。
◇臨時報告書または有価証券届出書の提出
有価証券報告書の提出義務がある企業が、組織再編を行った場合、投資者を保護するために「臨時報告書」の提出が必要になります。組織再編に伴い有価証券の募集や売り出しを行う場合には、内閣総理大臣へ「有価証券届出書」の提出が義務づけられています。新会社を設立するといった場合などがこれに該当するでしょう。
◇インサイダー取引に注意
株式上場会社による企業合併や事業譲渡などの組織再編は、インサイダー取引規制の対象となります。これらの重要事案は公表しなければいけませんが、未公表の期間内に会社関係者や、その情報を知る人が組織再編の当該株式を売買することは禁じられているので注意が必要です。
■税法上必要な手続き
組織再編を行った後は、税務報告に必要な届出を行う必要があります。法人設立届出書や青色申告書の届出や、消費税に関する届出書類です。これらの届出書を作成し提出しなければ、税法上の優遇を得ることができなくなることもあります。
ここに挙げた書類はほんの一部です。組織再編の方法によって提出する書類も異なりますので、税理士を介入させることでスムーズに動くことがあります。
◇連結納税制度を導入する企業は注意が必要
組織再編によって子会社化や持株会社化を遂げた場合、連結決算という会計処理を行うことも考えられます。連結決算による連結納税制度を導入しする場合は、これに関連する届け出が必要となります。
■まとめ
組織再編に関する諸手続きは各方面に及び、煩雑化します。また時間を要する手続きもあるため、組織再編の日にちを決定したら、スケジュールを組んで入念に準備を進めていきましょう。また、司法書士や税理士といった士業を介入させて手続きを代行してもらうと、スムーズに事が運びやすくなります。
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