昨年、上場企業において創業者の会長とその実の娘である社長の対立が連日メディアを騒がせました。これはオーナー家一族におけるお家騒動が表面化し、他の株主も巻き込んで事業に大きな影響を与えました。このような株主間の対立が事業に影響を与えるケースは中小企業においても発生することがあります。
所有と経営の一体型組織
所有と経営の一体型組織とは、事業会社の株を創業者一族で保有している会社のことをいいます。まだ、創業社長が経営を行っている会社では、株式の全てを社長が保有しているため、株主間の対立は起き得ないでしょう。しかし、創業社長が亡くなり、株式が相続されていった会社では、創業者の株式がその子に相続され、その子が亡くなれば孫に相続されていきます。
相続を繰り返すことによって株式が分散し、多くの株主が存在することになります。株式を少数でも保有していれば、株主としての権利を主張できます。ひとたび株主間での対立が発生した場合には、その権利を使い会社に対して嫌がらせをし、会社の事業活動に影響を与えることも可能になります。会社に関係する株主や従業員、取引先や金融機関など、その影響は多岐に渡ります。
また、親族内に事業会社の経営者となる後継者がいない場合には、経営者を親族以外の者にすることになり、経営者が株主の意向を配慮することになり、株主と経営者との間で対立が起き、トラブルに発展することも少なくありません。
このようなトラブルの解決策の一つとして、ホールディングカンパニーを活用して所有と経営を分離する方法があります。
所有と経営の分離
事業会社と株主の間にホールディングカンパニーを設立し、ホールディングカンパニーが事業会社の株式を100%保有することにより、仮に創業者一族である株主間において対立が起きたとしても、事業会社に対しては直接的な影響を与えません。また、ホールディングカンパニーを創業家の資産管理会社とすることで、創業家に収益をもたらすことも可能になります。事業会社の経営を第三者に任せることも可能になり、ホールディングカンパニーはその管理を行うことで、所有と経営を分離することもできます。
まとめ
ホールディングカンパニーを活用することで、無駄な対立を避け、円滑に事業と財産を承継していくことができます。事業承継のご相談、ホールディングカンパニーについて詳しく知りたい方は、TOMA の事業承継コンサル部までどうぞ。