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平成30年税制改正大綱と米国不動産

記事作成日2018/02/14 最終更新日2021/01/29

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昨年の12月14日、与党自民党および公明党作成の平成30年度税制改正大綱が発表されました。米国不動産など海外不動産に関して減価償却の取り扱いなど、何か改正があるのではないかと予想されておられた方も多いのではないでしょうか。今回の大綱内では特にそれらに関する言及はないようです。

一方で今大綱を見る限り高所得者層の所得税の課税については益々強化される方向に国が動いていくことは間違いなさそうです。

高所得者層への課税強化

一般に経営者の多くが役員給与を受け取られているかと思います。この役員給与には給与所得控除という給与所得者の経費として国が認め所得から控除してくれている部分があるのですが、今回の改正では給与所得控除を10万円一律に引き下げ、さらに控除の上限も195万円までとすることで増税となる予定です(後者は、いわゆる給与収入850万円超の方の所得税の負担増の話です)。

その代わり基礎控除を10万円引き上げることにはなっているのですが、合計所得金額が2,500万円を超える方はそもそも基礎控除がなくなってしまうことが今回の大綱に盛り込まれ、さらなる増税も見込まれます。

今後も所得税節税で注目される米国不動産

このように、日本においては、ここ数年の様子を見る限り個人の所得税について、高所得者層の課税が強化される傾向が続いており、今後もその可能性は否定できません。

そこで、米国不動産を中心とした比較的リスクの低い海外先進国不動産への投資が富裕層の方々に注目されています。投資の目的は節税が主で+αで安定的なインカムおよびキャピタルゲインの可能性、そして分散投資となります。当社の顧問先経営者様では米国西海岸やハワイへ投資されている方が多いようです。日本の税法では、耐用年数を過ぎた木造賃貸アパートは所在国に関係なく、中古資産の耐用年数の計算方法により4年で償却可能となっています。

また米国不動産の特徴として、
(1) 耐用年数を経過した木造賃貸アパートでも建物の価格比率が60%~90%程度あるものが多い
(2) リフォームしていくことで築年数に関係なく価値が下がりにくい
(3) 新築神話のある日本とは異なり、流通不動産の実に90%が中古物件で市場が大変充実している
などが挙げられます。

所得税の節税手段が少ない中、大変有効な手法であること、また、人口減少による国内マーケット縮小に伴う不動産投資の分散先として、さらに所得税増税の傾向が続くことが見込まれ、かつ今のところ税務当局の規制がないことを考えますと平成30年も米国不動産はさらに盛り上がりそうです。