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事業承継のための持株会社の活用方法とそのメリット・デメリット

記事作成日2017/09/19 最終更新日2021/01/22

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既に存在する事業会社の株式保有を目的とした会社を「持株会社」といいます。実は、この持株会社は事業継承においても活用することができるのです。

持株会社を事業承継に活かすには

38 事業承継のための持株会社の活用について複数の会社を持つ経営者は、それぞれの株式を持っています。そして事業を継承する場合は、経営者から後継者へ株式が引継がれることになります。

その方法として「経営者から後継者へ株券を渡して終わり」といった簡単なものをイメージしがちですが、実際の引継ぎはかなり煩雑なものとなります。具体的には、経営者である会社の数だけ、株式引継ぎの手続きが必要となります。

しかし問題は、手続きの煩雑さだけではありません。会社引継ぎの手続きにおいて、双方の意見が一致しないと、事業継承が完全な形で実施できない恐れも出てきます。

持株会社の存在は、事業継承におけるこのような問題の解決に活かすことができます。

持株会社を事業承継に利用するメリット

上記の問題は、経営者がそれぞれの会社の株式を直接所有しており、その状態で後継者に譲渡しようとしていることから発生しています。その問題を解決するための方法が「持株会社の設立です。

持株会社があれば、その会社の株式を後継者へ移すだけで、事業承継が完了します。それぞれの会社ごとの株式を後継者へ移すのに比べて、はるかにスムーズな方法と言えるでしょう。具体的には、後継者の出資で新会社を設立し、後は事業継承する会社の株式を経営者から買い取り持株会社に移転すれば完了です。

また、経営者が「それぞれの会社の株式を直接所有」している状態から、「持株会社を通じた間接的な所有」となることで、株式の評価額の低減効果も期待できるようになります。会社の業績が下がりさえしなければ、持株会社保有の株式評価額は控除率が大きいため、評価額が下がる場合があります。

持株会社を事業承継に利用するデメリット

持株会社を事業承継に利用する方法は、後継者が1人の場合は大変に良い方法と言えます。一方、後継者の候補が2人以上の場合、これが争いの原因となる可能性が出てきます。持株会社の承継は、グループ全体の経営権掌握に等しいため、後継者に選ばれなかった方が、強い不公平感を感じるのは想像に難くありません。

このほか、持株会社の利用が、事業承継の永続的な方法でない点にも注意が必要です。後継者が、さらに次の後継者へ会社を承継する際には、再び同様の方法を実施しなければなりません。また、以下で紹介する「株式交換」「株式移転」を実行する場合、契約書や公告の整備や準備で手続きが複雑になるという点も、デメリットの1つと言えるでしょう。

持株会社の作り方

持株会社を作るには「既存の法人を持株会社にする方法」(株式交換)と、「新設法人を持株会社にする方法」(株式移転)の2通りがあります

具体的には、「株式交換」では、既に会社が複数ある状況が想定されます。その中の一社を親会社とすることで、残りを完全子会社という関係にする方法です。

「株式移転」では、新会社を設立する場合が想定されます。
既にある会社の株主が、新会社で株式を提供する(移転する)という方法です。他の株式会社と新設法人のどちらに取得させるかという点が異なりますが、既存法人の株式取得という目的は共通です。

1997年末の独占禁止法の改正より以前は、純粋持株会社は禁止でした。
しかし、グループ全体の意思決定や戦略の打ち出しにおいても良い効果を発揮することが期待できるとして、持株会社は大きな存在感を放っています。そして今回ご紹介したような事業継承・相続対策においても、持株会社は大いに活用されています。

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