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事業承継と事業譲渡の違いやそれぞれの進め方とは

記事作成日2017/09/19 最終更新日2023/03/29

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「事業承継」と「事業譲渡」は、似た言葉ですが異なるものです。それぞれの違いを理解した上で、最も適切な方法で事業を次世代に伝えていきましょう。今回は「事業承継」と「事業譲渡」について、その違いや「事業譲渡」を選ぶ場合はどんな時なのか?などについて解説していきます。

事業承継計画表テンプレート

事業承継と事業譲渡の違いとは

事業承継と事業譲渡で間違えないようにしたいポイントとは

事業承継は、その名の通り「現経営者から後継者へ事業を受け継がせること」を指します。親族もしくは従業員が後継者となり、経営・事業を引き継ぎます。

一方、事業譲渡は「会社の事業を譲り渡すこと」を指します。必ずしも会社の事業の全てが譲渡されるわけではなく、その一部のみが譲渡されるケースもあります。なお、事業の譲渡は、会社法の規定に則ってすすめられます。

事業承継の方法とは

事業継承は「事業承継計画の立案」から、「具体的対策の実行」へと移行します。具体的対策の実行は、誰が会社を承継するのかによって、その方法が変わります。

親族への事業承継、従業員への事業承継(あるいは外部からの雇い入れ)のいずれにおいても、「関係者の理解、後継者教育、株式・財産の分配」という3ステップは変わりません。ただし従業員への事業承継(あるいは外部からの有能な人物の雇い入れ・招聘)の場合は、それに加えて個人保証や担保の処理の問題もクリアにする必要があります。

事業譲渡の方法とは

事業譲渡を考える場合、まず初めに考えるべきは「相手探し」です。どんなに事業を譲渡したくても、買い手の会社がなければ何も始まりません。

相手が見つかったら、事業の一部の譲渡か、もしくは全部の譲渡かなど「事業譲渡の範囲や概要」の条件を提示してもらいます。もちろん、買収価額や資産・負債の受け継ぎなどについても提示してもらいましょう。これについては「意向表明書」の形で先方から示されるのが一般的です。

話し合いを重ね、条件が合意に至ったら、基本合意書が締結されます。
それには取締役会の承認が必要です。以降の流れとしては、買収調査(買収価格の算定をはじめとする種々の調査)、事業譲渡契約書の締結、株主総会の実施(議決権をもつ過半数の株主の出席、および2/3以上の賛成が必要)を経て、移転や引き継ぎの手続きを行います。

この他、各種契約の締結、変更、解約の他、登記や移転の手続きをすすめます。

事業譲渡のリスクとは

事業譲渡における1番のリスクは「取引先などとの契約がうまく引き継げない」という可能性です。特に、取引先が多い場合には、引き継ぎに苦労することも予想されます。さらに、事業譲渡に原則必要な「株主総会の特別決議」にもコストがかかる上、株主の賛同を得られない可能性もリスクと言えるでしょう。

事業承継より事業譲渡を選ぶ理由

収支が赤字の場合、親族や従業員に事業承継することがためらわれるかもしれません。このような場合に事業譲渡には大きなメリットがあります。事業譲渡を行えば、売り手は資金を得ることができます。また、全ての事業を売却し会社の枠組みがなくなったとしても、会社が培ってきたノウハウを事業の中で継続的に伝えていくことも期待できるのです。

そもそも収支が赤字の場合、買い手がつくのか?と疑問をもつ方もいるかと思いますが、外側から見ないと気づかない価値や魅力を持っている会社は少なくありません。事業譲渡においては、この他「残したい従業員・資産の契約が残せる」「債権者への通知・公告なしに手続きできる」などのメリットがあります。

事業承継と事業譲渡、迷った時の対処方法

事業承継は経営者と後継者の間での決定事項が多くなりますが、事業譲渡は会社法の規定に沿って引き継がれていくため、経営者の意思や希望が入る余地はあまりありません。事業を次世代に伝えたい経営者は、事業承継のみに固執せず、事業譲渡についても検討してみてはいかがでしょうか。

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監修 TOMAコンサルタンツグループ コーポレートアドバイザリー部