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中小企業のためのグループ経営戦略 ~最適な組織づくりによるグループ経営

記事作成日2018/06/08 最終更新日2018/06/08

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前回のブログでは、一般的なM&Aの流れ(買い手)について記載しました。
今回は、本社や各事業会社が抱えている事業部門について、グループ経営をおこなううえでの最適な組織体制づくりを記載いたします。

1.問題

グループ経営は企業価値を最大化させることを目的としております。
そのためには、事業規模を拡大する必要があり、その方法としては、新規事業への参入、事業拠点の拡大、海外進出などがあります。
しかし、事業規模を拡大していくと、同一の事業が重複してしまう場合があります。たとえば、新規事業への参入を目的としたM&Aにより新しい企業を買収した場合に、その企業の抱えている他の事業が、グループ内の他の事業会社に既に存在していることなどです。
このような場合だと、同一または類似のサービスをおこなう事業部門がグループ内に複数存在していることから、同一市場で互いの商品を侵食しあう、いわゆるカニバリゼーションが起こることや、原材料の仕入れ、資産の購入など、本来はまとめて行うことにより削減できるコストが重複して発生している場合もあります。このままでは、グループ会社は効率性が失われ、必要以上のコストが発生してしまいます。

2.検討

この問題を解決するためには、それぞれの事業会社の事業領域について定義づけをおこなったうえで、同一又は類似している事業部門を集約する必要があります。
定義づけとは、事業会社で細分化されている事業部門があいまいになっている状態を、一事業・一部門などのように、事業会社の事業領域を明確にすることです。つまり、全体最適のための事業ポートフォリオ・マネジメントを行うことです。
事業会社はグループ内で重複している事業部門を、分社、分割をすることにより切り離し、同一の事業部門を持つ事業会社に統合・合併させることにより事業部門を集約させます。
このように、ひとつの事業会社には同一の事業部門がある組織体制づくりをすることで、グループ全体の効率性を上げ、コストを削減することができるようになります。
ただし、デメリットとして、別の事業会社に行くことになる従業員は、勤務先が変わることや、新しい職場での人間関係による不満が発生する恐れがあります。また、上記の組織再編を行う場合には、それにかかるコストも発生します。

3.問題の解決

それぞれの事業を定義して、グループ内での事業の集約をすることにより、同一又は類似の事業がお互いの売上を奪い合うことなく、市場のシェアをさらに拡大することができるようになります。また、仕入や資産購入などがまとめてできるようになり、コストの削減につながり、更なる利益の獲得ができるようになります。結果として、グループ全体の企業価値が向上し、グループ経営の目的を達成することができます。