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ホールディングカンパニー(HD)におけるグループ経営~事例

記事作成日2016/05/06 最終更新日2021/07/19

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前回のマンスリーコラムでは、ホールディングカンパニーにおけるグループ経営の業績管理について触れました。今回はホールディングカンパニーの代表的な事例について触れていきます。

■キリンホールディングス株式会社

酒類・飲料から医療・バイオケミカルまでの幅広い領域においてグローバルに事業展開するキリングループは、2007年7月よりグループ会社の再編を行い、純粋持株会社体制をとっています。その際に、キリンビール株式会社から商号をキリンホールディングス株式会社に変更しました。

純粋持株会社制導入に伴う会社分割の目的として、(1)成長分野への大胆な資源配分、(2)グループ内のシナジー拡大、(3)各事業の自主性・機動性の向上の実現を挙げています。

キリングループは、キリンホールディングス株式会社のもとに、各事業分野の「事業会社」とグループ共通の間接業務を担う「機能分担会社」を並列に配置する組織構造をとって、成長戦略の推進を図っています。グループ各社の役割として、キリンホールディングス株式会社では、グループの経営戦略・経営管理ならびに専門サービスの提供を行っています。「事業会社」では、市場に密着して環境変化への対応スピードの向上を図り、「機能分担会社」では、経理・人事等の間接業務をグループ全体での効率化を図るとしています。

■米グーグル

最近では、米グーグルが持株会社に移行するというニュースが大きな話題になりました。米グーグルは、2015年8月に各事業を統括する持株会社となる新会社「アルファベット(Alphabet)」を設立しました。アルファベット設立の目的は、事業を明確に分離して「組織の透明性を高めること」としています。

グーグルではウェブ広告事業などの基幹事業以外にも、生命科学事業や都市インフラの効率化を狙う事業など、基幹事業との関係が薄い異色の戦略事業が増えて経営の透明性が下がっていました。持株会社へ移行し、事業ごとに会社を別にすることで基幹事業と戦略事業を財務会計的に区分して組織の透明性を高めることを図るとしています。

また、持株会社を活用することで、M&Aがより容易なものとなることを2月号で紹介しました。アルファベットの設立により大型のM&Aを行っていくことも予想されます。次回はHDにおける経営の人員をご紹介します。

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