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今、注目のデジタルインボイスとは?電子インボイスとの違いやEIPAが普及を進めるPeppolの内容を解説します

記事作成日2023/12/08

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2023(令和5)年10月1日から開始されたインボイス制度。買い手が求めた場合、売り手は正確な適用税率や消費税額等を記載したインボイスを発行することが義務付けられました。

これまでにない制度の導入に対し、バックオフィスでは日常業務に変化を強いられているかもしれません。しかし、デジタルインボイスを活用することで、これまで以上に生産性が向上する可能性があることをご存知でしょうか。

今回は、今注目を集めるデジタルインボイスについて解説します。

TOMAではデジタルインボイスについて、当ブログとは別に無料の解説資料もご用意しています。資料をご覧頂きデジタルインボイスについて知見を深めて頂ければ幸いです。

関連資料:デジタルインボイスとは?

デジタルインボイスとは

デジタルインボイスとは、「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)」が進める「Peppol(ぺポル)」という国際的な標準規格をベースとした標準化され構造化された電子インボイスのことです。ただし、標準化され構造化された電子インボイスと言われてもイマイチ理解しづらいかと思います。そのため、以下に補足説明いたします。

現在、日本では世界各国と比較してペーパーレス化が大きく遅れをとっており、特に、バックオフィス業務においては、請求書や契約書をはじめ押印、封入、郵送など未だに紙を使ったやり取りが中心となっている企業が多く存在しています。

現状では、

・紙で受け取った請求書をスキャンする
・紙の請求書をシステムに手作業で入力する
・PDFやCSVで受け取ったデータを自社のシステムに転記する

といった「電子化作業」に追われているという企業が多いのではないでしょうか。これらの作業は業務の効率化・生産性の向上になっているとは言えませんし、電子化作業はデジタルインボイスではありません。

標準化され構造化された電子インボイスとは、紙を前提としたアナログな業務プロセスではなく、デジタルを前提に業務プロセス自体を見直すデジタル化によるインボイスのことです。

もう少し噛み砕いて説明すると、売り手、買い手が使用している請求・支払管理システムに関係なく、請求から支払、入金消込といった会計処理業務に人が介入することなくデータ連携が行われ、自動処理されるインボイスのことです。

電子インボイスとデジタルインボイスの違い

よく混同されがちなのが、電子インボイスとデジタルインボイスです。電子インボイスとは、PDFやCSVなどの電子データで受領した請求書を、自社の支払管理システムや会計システムに人が介入して入力することを指しますが、デジタルインボイスとは、電子データで受領した請求書に人が介入することなく支払管理システムや会計システムにて自動処理することです。

実は普段から電子インボイスを発行している側(売り手)にとっては、ほとんど違いはありません。 しかし、請求を受ける側(買い手)の作業が大きく異なるのがデジタルインボイスです。

例えば、これまでも売り手と買い手が同じ請求・支払管理ソフトを使用している場合は自動処理が可能でした。 しかし、システムが異なる場合は手入力が必要となっていました。デジタルインボイスは、相手がどんなシステムを使用していても自動処理してくれるシステムなのです。


関連資料
デジタルインボイスについて無料の解説資料をダウンロードする

デジタルインボイスを実現させる「Peppol」とは?

では、どのように異なる請求・支払管理システムで自動処理を可能にするのでしょうか。その答えは、電子文書を相互運用するための国際規格「Peppol(ぺポル)」です。

PeppolとはPan European Public Procurement Onlineの略で、ベルギーの国際的非営利組織である「Open Peppol」が管理している国際規格です。

Peppolは請求書(インボイス)などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための文書仕様、運用ルール、ネットワークのグローバルな標準仕様で欧州を始め、30か国以上で利用されています。日本においては、「JP PINT」というデジタルインボイス標準仕様を「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)」が管理しています。

Peppolが導入されている請求・支払管理システムを使用すると、売り手が請求管理システムで送信したデータが、買い手の支払管理システムで自動処理され、支払情報や仕訳情報が自動登録されます。

例えば、ドコモのアドレスからソフトバンクのアドレスにメールを送っても、文字化けせずにちゃんとメールが送れるのと同じようなイメージで捉えてください。

現在、Open Peppolのウェブサイトでは、適格請求書(Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0) と、仕入明細書(JP BIS Self Billing Invoice Version 0.9)の標準仕様が公開されており、今後も適宜更新が行われる予定です。より便利に、効率的なシステムに進化していくことが予想されます。

デジタルインボイス導入による3つのメリット

では、デジタルインボイス(Peppol)を導入することで、どのようなメリットを享受することができるのでしょうか。

1. バックオフィス業務の効率化

デジタルインボイスと全銀システムの活用により、買い手が送信した商取引データと結びついた入金データが取得可能となり、売り手側の入金業務の自動化が実現します。空いた時間を別の業務に割いたり、業務時間の短縮につながったりと、従業員の労働環境改善に寄与します。

日本人の場合、これまで当たり前のように行なってきた業務がなくなると、楽をしている=怠けていると感じる方もいます。しかし、欧米諸国では業務時間の短縮といった従業員の幸せにつながる改善は積極的に取り入れていこうという風土が定着しています。

超過労働時間や労働人口の減少といった課題を抱える日本では、欧米諸国の考え方を見習わなければなりません。

2. ヒューマンエラーの削減

人間が手入力で行う作業はどれだけ気をつけてもミスが発生してしまいます。過去に起きたヒューマンエラーの防止策として、二重三重のチェックを実施しているという企業も多いでしょう。

デジタルインボイスを利用できるシステムを導入することで、金額はもちろん仕訳登録なども全て自動処理されます。人間の作業はシステムが自動処理したデータが間違っていないかの確認のみとなります。

3. グローバルな取引にも利用可能

Peppolは欧州、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなど世界30か国以上で利用されている標準規格です。今後も利用する国は拡大する可能性も高く、海外企業との取引をする企業にも有用なシステムです。

デジタルインボイスのメリットを解説する画像

デジタルインボイスの導入方法

ここまで解説すると、デジタルインボイスのメリットに魅力を感じ、ぜひうちの企業でも導入したいが、どうすれば良いのかわからない、という企業も多いのではないでしょうか?

実は、デジタルインボイスの導入は企業から申込みをするといったアクションは必要ありません。なぜなら、デジタルインボイスを導入するのは請求・支払管理システムを提供しているプロバイダーだからです。つまり、自社で現在使用している請求・支払管理システムがデジタルインボイスに対応していれば、すでに利用可能なのです。

自社が利用しているシステムがデジタルインボイスを採用しているかどうか不明な場合は、プロバイダーに確認してみると良いでしょう。

また、デジタルインボイスに対応したシステムについて詳しく聞きたい、という方はこちらからお気軽にお問い合わせください。また、TOMAではIT・業務改善に関するメールマガジンを定期的に配信しております。こちらもぜひご登録ください

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