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kintone(キントーン)でできること・できないことは?導入する際の注意点も解説

記事作成日2025/09/05

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kintoneは業務効率化や働き方改革の強力なツールとして多くの企業で導入が進んでいますが、具体的にどのような業務課題を解決できるのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。

kintoneは豊富な機能があり、特性を理解して適切に活用することで、より大きな効果を得ることができます。導入前に活用範囲と期待効果を明確にしておくことが成功の鍵となります。

本記事では、kintoneの基本的な機能から具体的な活用事例、効果的な導入のポイントまで詳しく解説します。kintone導入を検討している方はぜひご一読ください。

kintoneとは?

kintoneとは、サイボウズ株式会社が開発・提供しているクラウド型の業務改善プラットフォームです。

「日々の業務がExcel頼みで、情報共有や進捗管理に限界を感じている」
「自社の業務に合ったシステムが見当たらない」
「部門間の連携がうまくいかず、業務が属人化している」

このような課題を抱えている企業がkintoneを導入することで、業務効率化はもちろん、従業員エンゲージメントを向上させた結果として顧客満足度の向上、組織全体のコミュニケーションの活性化などの成果を実現したケースは少なくありません。ITの専門知識を持たない現場担当者でも、直感的な操作で業務改善を実現できる可能性を秘めているプラットフォームです。

kintoneは「ノーコードツール」の代表格と言っても過言ではないツールであり、プログラミングスキルを必要とせず、現場の業務を熟知した担当者が自ら業務アプリを構築できます。従来のシステム開発とは異なり、要件定義から運用開始まで短期間で実現できることが大きな特長です。

さらに、kintoneはクラウド型のサービスとして提供されているため、インターネット環境があればオフィス、在宅、外出先を問わずアクセス可能です。パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなど様々なデバイスに対応し、働く場所を選ばない柔軟な業務環境を実現します。

導入実績についても、小売業・製造業・情報通信業・サービス業をはじめとする幅広い業界で活用されており、2023年6月時点で導入企業数は30,000社を超えています。特に注目すべきは、導入を推進している担当者の9割が非IT部門の現場担当者である点です。これは、kintoneが現場目線で設計された使いやすいツールであることの証明と言えるでしょう。

kintoneでできることは?

kintoneの最大の強みは、プログラミング知識を必要とせず、現場の業務に精通した担当者が直接業務アプリを構築できることです。具体的なアプリ作成方法について詳しくご紹介します。

業務アプリの作成

kintoneでは、企業の多様な業務ニーズに対応するため、顧客管理・売上管理・スケジュール管理・日報管理をはじめとする幅広い業務アプリを柔軟に作成できます。

業界や企業規模を問わず、それぞれの業務フローに最適化されたシステムを構築可能です。アプリ作成には、以下の4つのアプローチが用意されており、プロジェクトの要件や緊急度に応じて最適な方法を選択できます。

  • はじめから作成
    ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、フィールド(項目)を配置・設定し、完全オリジナルのアプリを構築できます。独自の業務フローに完全に対応したい場合に最適です。

  • CSVやExcelのファイルを読み込んで作成
    既存のCSV・Excelデータを読み込むことで、アプリ構築とデータ移行を同時に実現できます。従来のファイル管理からの脱却をスムーズに進められる実用的な方法です。

  • テンプレートを活用した作成
    豊富に用意されたテンプレートや、他のkintone環境で作成されたテンプレートを活用することで、実績のあるアプリ構成をベースに効率的な構築が可能です。

  • サンプルアプリをカスタマイズ
    kintoneに標準搭載されているサンプルアプリをベースに、自社の業務に合わせたカスタマイズを行います。最短でアプリ運用を開始できる方法です。

これらのアプローチにおいて、プログラミングやコーディング作業は一切不要です。現場の担当者が業務の合間に、必要に応じてアプリの構築や修正を行うことができます。

従来のシステム開発のように外部ベンダーへの依頼や長期間の開発期間を必要とせず、現場のニーズの変化に迅速に対応できることが、kintoneによる業務アプリ作成の大きなメリットです。

kintoneで構築できる業務アプリの活用領域は非常に幅広く、企業の基幹業務から日常的な管理業務まで、包括的にカバーすることが可能です。以下に代表的な活用分野をご紹介します。

  • 顧客・案件管理
  • 予実管理
  • タスク・工数管理
  • スケジュール管理
  • 売上・請求管理
  • データ集計・閲覧
  • 日報管理

これらの業務領域において、kintoneがどのような価値を提供できるか、具体的な機能と導入効果を交えながら詳しく解説いたします。自社の業務課題解決のご参考としてお役立てください。

顧客・案件管理

kintoneで顧客・案件管理を行うと、従来部門ごとに分散していた顧客情報を統合し、企業全体での一元的な顧客データベースの構築が可能です。

既存のSFA(営業支援システム)との連携により、営業活動で蓄積された情報を製造・サポート・経理などの関連部署とリアルタイムで共有し、組織横断的な顧客対応を実現できます。

多様なフォーマットで管理されていた顧客情報を統一されたデータ構造で整理し、条件検索や絞り込み機能を活用することで、必要な情報への迅速なアクセスが可能になります。また、案件の商談履歴、進捗状況、関連資料を時系列で管理することで、営業活動の全体像を把握できます。

これらの情報統合により、顧客対応時の情報収集時間を大幅に短縮し、データに基づいた迅速な意思決定が可能となります。結果として、営業生産性の向上と従業員エンゲージメントの同時実現を図れます。

kintoneの機能を活用すれば、売上予測、案件進捗率、営業活動効率などをグラフ化し、経営層から現場まで各レベルでの業務状況を可視化できます。

これにより、営業機会の早期発見や課題の迅速な対応が可能となり、売上機会の最大化を実現できます。導入についても、kintoneマーケットで提供されている実績豊富なテンプレートを活用することで、短期間での運用開始が可能です。

テンプレートをベースに自社の営業プロセスに合わせたカスタマイズを行うことで、効果的な顧客・案件管理システムを構築できます。

予実管理

kintoneには予実管理に対応したサンプルアプリが用意されており、このアプリを活用することで効率的な予実管理システムを構築できます。

予算と売上実績を入力することで、予算に対する差異や達成率を確認できるうえ、グループ・部署・拠点・事業などのセグメント分けも可能です。これにより、経営判断の迅速化につながるほか、目標達成に向けた具体的なアクションプランの策定も容易になります。

タスク・工数管理

kintoneには、タスク管理と工数管理を効率化するためのサンプルアプリが用意されており、これらを活用することで組織の生産性向上を実現できます。

タスク管理については、ToDoアプリをベースに個人・チーム双方のタスク管理システムを構築できます。タスクの登録から進捗確認、完了管理まで一元化し、確認漏れや処理遅延を防止できます。

各タスクには担当者・優先度・締切日・関連資料などを紐づけることで、チーム全体でのタスク共有と進捗管理を実現できます。工数管理においては、業種や業務特性に応じて以下のサンプルアプリを活用できます。

アプリ名概要
製造業作業工数管理アプリ管理者が作業者の工数管理を行うためのアプリ。作業者が一日の終わりに作業内容を登録し、管理者がそれをチェックすることで、製品別・作業者別に工数を把握できる
SE工数管理日報アプリプロジェクトの進捗状況をリアルタイムで確認できるアプリ。プロジェクト別に工数が把握できるほか、登録データのCSV出力が可能

スケジュール管理

kintoneには、カレンダー表示機能が標準搭載されています。kintone上に登録したデータ(レコード)をカレンダー形式で表示できるため、いつ・どのような予定が入っているか確認しやすくなるでしょう。

さらに、カレンダー画面から予定を追加したり、プロジェクトや担当者といった条件で予定を絞り込んだりすることも可能です。リマインダー機能も搭載されているので、対応漏れなどを防止できます。

売上・請求管理

kintoneを活用することで、販売から入金管理まで一連の売上・請求業務を統合管理できるシステムを構築できます。以下の関連アプリを連携させることで、販売管理業務全体の効率化を実現します。

アプリ名概要
顧客管理アプリ顧客の基本情報を集約するアプリ。
売上管理アプリ日々の売上を登録するアプリ。登録内容がそのまま請求管理アプリに反映される
入金管理アプリ顧客からの入金情報を登録するアプリ。顧客情報を表示する項目や入金額の項目などが必要
請求管理アプリ売上情報と入金情報を集約するアプリ。請求日・請求先名・入金額・繰越金額など、さまざまな項目が必要

これらのアプリの連携により、従来の手作業による売上・請求管理から脱却し、データの一貫性確保と処理時間の大幅短縮を実現できます。

さらに、kintoneのプラグイン機能や外部連携機能を活用することで、既存の会計ソフトや基幹システムとのデータ連携も可能です。これにより、販売管理から財務会計まで一気通貫した業務フローを構築できます。

データ集計・閲覧

kintoneで作成した業務アプリには、データの集計機能やグラフ化機能を設定することが可能です。入力データがリアルタイムでグラフに反映されるため、レポート作成や分析の度に修正する必要がありません。また、集計したデータはCSV形式で出力することも可能です。

日報管理

kintoneでは、日報アプリを作成することも可能です。統一したフォーマットで日報を一元管理できるので、報告内容のばらつきが防げるほか、業務全体の見える化につながります。

日報のフォーマットは自由に設計できるため、自社専用のフォーマットを作成できる点も強みです。

また、インターネットに接続できれば、外出先でもスマートフォンから日報の作成・提出ができるので、会社に戻る必要がありません。柔軟な働き方が実現できるだけではなく、現場情報を共有しやすいというメリットもあります。

日報アプリのサンプルアプリもあるため、自社向けのアプリを簡単に作成可能です。サンプルアプリには、日報の自動集計機能やグラフ化機能が備わっています。

また、kintoneの特徴として外部サービスとの連携やコミュニケーションツールとしての活用例もご紹介いたします。

外部サービスとの連携

外部連携用プラグインが豊富に提供されていることにより業務アプリと外部サービスとの連携を図りやすいこともkintoneの特徴です。電子契約サービスやファイル管理サービスと連携すれば、業務アプリの機能を拡張したり、視認性や操作性を高めたりすることができます。

kintoneとの連携用プラグインが提供されている場合は基本的にプログラミングなどの難しい知識は求められないため、誰でも簡単に連携可能です。

しかしながらkintoneとの連携プラグインが提供されていないシステムとの連携については、コーディングを用いたカスタマイズが発生する可能性があるため注意が必要です。

コミュニケーション・チャット

基本機能の一つ「スペース機能」を使えば、kintone上にチームが集まる場所「スペース」を設置できます。スペースでは、チーム内で情報共有を行なったり、スレッド(掲示板)を作成したりすることが可能です。

スレッドはテーマ別に作成できるうえ、参加メンバーや公開範囲も設定できます。チャットに近い形式でやりとりするため、円滑なコミュニケーションが実現できるでしょう。

社外の人と一時的にやりとりできるゲストスペースもあるので、必要に応じて外部との情報共有や連絡ができます。

また、アプリのレコード内にあるコメント欄や基本機能「ピープル機能」でも、チャット感覚でやりとりすることが可能です。

kintoneでできないことは?

kintoneの導入を考えているなら、以下のできないことも把握しておきましょう。

  • 複数アプリをまたいだデータ集計
  • 専門性の高い基幹システムの置き換え
  • 複雑な機能の実装

こちらもそれぞれの詳細をまとめました。

複数アプリをまたいだデータ集計

kintone自体に高度な計算機能は搭載されていないため、複数アプリをまたいだデータ集計は不可能です。

例えば、Aアプリで管理している単価とBアプリで管理している販売数をかけ合わせた数値が知りたい場合、それぞれを目視で確認してからほかのアプリに手動で入力する方法しかありません。初めから同一のアプリで管理すると集計できますが、現実的に考えて難しいでしょう。

プラグインを活用すれば、データ集計機能を拡張できるようになりますが、代わりに費用がかかります。

専門性の高い基幹システムの置き換え

kintoneは多機能なプラットフォームですが、複雑な計算が必要な給与計算や会計処理はあまり得意ではありません。そのため、給与計算・会計といった基幹システムをkintoneと置き換えることは困難です。

プラグインや外部サービスを活用することで、置き換えができるケースもありますが、システムの構造が複雑化したり、不具合の発生率が高くなったりするなど、リスクが懸念されます。

一方、kintoneと既存の基幹システムを連携すれば、利便性や視認性の向上が見込めるため、置き換えより連携がおすすめです。

複雑な機能の実装

kintoneは簡単な機能の業務アプリであれば、ノーコードで作成できます。逆に複雑な機能を実装したアプリを作るためには、プログラミングなどの専門知識が必須です。

特にプラグインや外部サービス連携でも実現できない機能を搭載する場合、社内にプログラマーがいなければ、外部業者に依頼しなければなりません。

外注はそれなりに費用と時間がかかるので、予算やスケジュールを調整する必要があります。

kintone導入を成功させるためのポイント

kintoneの効果を最大化し、導入を成功に導くために、以下の重要なポイントを理解しておくことが大切です。

  • 組織的な運用ルールの策定
  • コストの事前検討
  • 段階的な導入
  • 継続的な改善体制の構築

これらのポイントを事前に押さえることで、スムーズで効果的な導入を実現できます。

組織的な運用ルールの策定

kintoneの強みは簡単に業務アプリを作成できることですが、一方で必要性の薄いアプリが乱立しやすいという難点があります。きちんとルールを決めて運用しなかった場合、必要なアプリを探す際に時間がかかったり、似たようなアプリが増えて区別しにくくなったりするかもしれません。

kintoneの管理が煩雑化すると、かえって業務効率が悪化してしまう可能性もあります。そうならないためにもアプリ作成やデータ管理のルールを策定することで、kintoneの柔軟性と組織としての統制を両立させることができます。

コストの事前検討

kintoneは基本機能だけでも多くの業務改善を実現できますが、より高度な機能が必要な場合は追加のプラグインや外部連携サービスが必要になります。

導入前の段階において、基本機能で対応可能な範囲と追加投資が必要な機能を明確に分類し、段階的な投資計画を策定することが重要です。まずは基本機能での効果を実証してから、必要に応じて機能拡張を検討することで、投資対効果を最大化できます。

当初の予算内で運用するためには、あらかじめ基本機能やサンプルアプリをチェックし、必要な機能が組み込まれているか確認しておくことが大切です。

段階的な導入

kintoneの導入においては、一度にすべての業務を対象とするのではなく、効果が見込まれる領域から段階的に導入することが効果的です。

最初は1~2つの業務アプリから開始し、ユーザーの習熟度向上と実際の業務改善効果を確認しながら、徐々に適用範囲を拡大していきます。このアプローチにより、組織の変革に対する抵抗を最小限に抑えながら、着実な成果を積み重ねることができます。

成功事例を組織内で共有することで、他部門への展開もスムーズに進めることができます。

継続的な改善体制の構築

「使いながら育てるシステム」という特性があり、継続的な改善によってその真価を発揮します。定期的な利用状況の分析、ユーザーフィードバックの収集、業務プロセスの見直しを通じて、システムを継続的に最適化していくことが重要です。

kintoneの導入支援はTOMAにお任せください

kintoneは、業務アプリの作成や顧客・案件管理、タスク・工数管理など、多様な機能が備わった業務改善プラットフォームです。クラウドサービスの一種なので、インターネット環境さえあれば、外出先や出張先でも手軽に利用できます。

一方、複数アプリをまたいだデータ集計や複雑な機能の実装は、原則としてできません。プラグインや外部サービス連携による機能拡張は可能ですが、高度な専門知識が必要です。

TOMAコンサルタンツグループでは、長年の業務改善コンサルのノウハウに基づく「kintone導入支援サービス」を提供しています。従来のシステム開発より時間とコストを大幅に削減できるので、ぜひご検討ください。

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また、ご相談は以下無料相談・お問合せよりご連絡ください。