TOMAがご支援させて頂いた業務改善の事例の中から、今回ご紹介するのは「勤怠管理と給与計算の業務改善支援」です。
貴社では毎日の出退勤の管理はどのように行っていますか?
多くの人にとって出退勤といえば、出勤・退勤時にカードを差し込むとカチリと打刻音が鳴って、労働時間が記録されるタイムカードを思い起こすのではないでしょうか。ただし、何気なく行っているこのプロセスには、実は多くの手間と時間がかかっています。現代でも依然として紙のタイムカードを使用している企業は少なくありませんが、管理者による集計作業の手間は、業務の生産性を低下させる要因になりがちです。
そのため、多くの企業が注目しているのが、勤怠管理システムを導入した業務の効率化です。打刻から集計、給与計算までを一元管理できるクラウド型システムの導入により、従来の煩雑な作業を大幅に簡素化することが可能になります。
今回の事例ではその勤怠管理・給与計算に関してTOMAがご支援した事例をご紹介いたします。勤怠管理について業務改善をお考えの方はぜひご参考にお読みください。
目次
タイムカードによる勤怠管理の課題
今回のお客様は、県内で自動車教習所を複数運営する法人様です。このお客様はタイムカードによる勤怠管理を行っていましたが、シフト設定の煩雑さから給与計算の手計算による限界を感じており、TOMAへ相談頂きました。まず、ヒアリングを実施したところ、以下の課題が浮き彫りになりました。
課題1:業界独自のシフトの煩雑さ
自動車教習所である法人では、指導員、事務員、ベビーシッターといった多岐にわたる職種が混在していました。
それぞれ異なる勤務体系やスケジュールで働いており、特に指導員のシフト管理が極めて複雑だったことが大きな負荷となっていました。指導員のシフトは、講習時間、講習内容、車種などに応じて多様なパターンがあり、それを正確に把握し、勤怠データに反映させるには、非常に細かな管理が求められました。
こうした状況から現状のマンパワー頼りの管理には限界が生じてきており、業界特有の煩雑さに対応するべくシステム化への移行が強く求められていました。
課題2:給与計算の大変さ
給与計算のプロセスにも大きな課題がありました。
お客様の教習所では、指導員の煩雑なシフトルールは前述した通りですが、給与計算の際はさらに複雑化されており講習内容に応じた計算や、一定回数を超えると単価が上がるといった複雑なルールが設定されていました。
実際の運用フローは、まず事務員が全指導員のタイムカードから目視でシフトの種類や回数を確認し集計を行います。集計が終わった後、電卓を用いた手計算でルールに基づいた給与計算を行っていました。この作業には膨大な時間と労力を要し、事務員にとって大きな負担となっているのは明白でした。その後本部へ送付する流れでしたが、本部でも送られてきたExcelデータを会計システムに手入力する必要がありました。
このように、何度も手作業を伴う運用はヒューマンエラーを招きやすく、給与計算全体の効率を著しく低下させていました。
課題3:拠点ごとにシフト作成ルールが存在していた
お客様の運営する教習所では、拠点ごとに異なるシフト作成ルールが存在していました。
このため、シフトは各拠点の事務員が独自のやり方で作成しており、統一された基準やルールがない状態でした。その結果、事務員が別の校舎に異動するたびに、その拠点独自のシフト作成ルールを一から覚え直さなければならず、業務引継ぎや習熟に多くの時間と労力がかかっていました。
また、事務員のシフトは勤務時間のみだけでなく、受付や考査、車手配、渉外担当と多岐に渡る担当職種を1日にバランスよく配置しなくてはならず、さらに残業時間の管理も考慮し、不公平感が生まれないよう調整しなくてはなりませんでした。そのために膨大な時間を費やしてシフト表を作成していましたが、実際に事務員が配られるシフト表には勤務時間のみしか書かれておらず、また別のシートでその日の担当職種を確認しなければならず利便性にも不満がありました。
全拠点で共通のシフト作成ルールを制定し、効率的な管理手法を導入することが安定した運用の鍵となりますが、分かっていてもどこから手をつけてよいのか分からず、目の前の業務に追われる日々に忙殺され改善にまで手が回らない、という状況でお困りの様子でした。
以上のように、今回のお客様が抱えていたこれらの課題はすべてマンパワー頼りの業務内容である事に起因しています。担当者の負担が大きい状況で業務を続けるとヒューマンエラーのリスクは比例して高くなります。
このような環境下では担当者のストレスが蓄積しやすく結果的に離職にもつながってしまうでしょう。担当者の負担を軽減するべく、業務全体の効率化が急務でした。
改善提案
次に、これらの課題を解決した具体的な支援内容をご紹介します。
提案1:勤怠管理システムを導入
まず、勤怠管理についてはタイムカードによる管理をやめ、勤怠管理システムを導入し、システム上で管理を行えるようデジタル化を図りました。
勤怠管理システムを導入することで、リアルタイムでの勤怠データの収集・集計が可能になり、正確性と業務効率が飛躍的に向上します。指導員と事務員を含む全従業員の勤務シフト一覧をマスタデータとしてTOMAで作成し、このデータを基に勤怠管理システム用に連携出来る関数表を整備しました。
この仕組みにより、事務員がシフト一覧マスタを基にシフト表を作成し、システムにそのデータを貼り付けるだけで勤怠計算が自動的に完了するようになりました。結果、従来の手作業による集計が一切不要となり、担当者の作業負担は激減しました。
提案2:給与操作マニュアルと設定項目値の定義を作成
次に、勤怠管理システムと連携可能な給与システムを導入しました。
特に、指導員の講習内容や回数に応じた複雑な給与計算を自動化するため、TOMAで給与システムの設定項目値の定義(給与計算式)を設定しました(例:指導員の講習内容単価×講習回数など)。
これにより、複雑な給与計算がいくつもあったとしてもシステム上でコンピューターが処理してくれるため、間違いのない給与計算が可能となります。
また、システムの操作や運用に必要な手順を詳細に記載した給与操作マニュアルも作成し、実務の負担軽減と業務の標準化を実現しました。合わせて、「講習内容単価×講習回数」、「講習時間単価×講習時間」、「複数講習合計計算式」など複雑な計算式については、設定後に使用する担当者がメンテナンスしやすいように計算式一覧表を作成し、何の支給項目がどの項目を元に計算しているのかが一目でわかる状態を構築しました。
提案3:統一シフト表の作成とルール設定
最後に、事務員の勤務シフトに関する統一シフト表を作成し、全拠点で統一したルールを設定しました。
TOMAで多数ある事務員の全シフトのコードマスタを作成し、シフト表と紐づける仕組みを整備しました。これはシフト作成者が1カ月分のシフトを作成する際、統一シフト表の各事務員の勤務時間を入力するだけで、合致するコードマスタを拾って別のシートにシフト名を転記する仕様です。
これにより、シフト表は一目で1か月分の内容が把握できるようになり、以前のように〇時~〇時といった勤務時間だけが記載されているだけの内容が分かりにくい状態を解消出来ました。また各従業員のシフト分類や勤務時間、担当職種バランス、残業時間を自動的に集計、確認できるようになり、不公平感の解消やシフト調整の利便性の向上にもつながりました。
改善実施の効果
これらの提案により、業務の効率性と正確性が飛躍的に向上し、担当者の負担は劇的に軽減されました。
提案1では、毎月電卓を使って全従業員分の勤怠を手作業で計算する負担から解放され、シフトをシステムに貼り付けるだけで勤怠計算が完了する仕組みを構築しました。
提案2では、複雑な給与計算が給与システムのボタン操作一つで正確に行えるようになり、手作業での入力や計算ミスのリスクを解消しました。
提案3では、統一シフト表とルール設定により、事務員が異動してもスムーズに業務を引き継げる環境を整備。各個人のシフトバランスや残業時間も自動で算出され、一目で把握できるようになりました。
業務負担が大幅に軽減された事で、担当者が本来注力すべき業務に集中できる体制が実現しました。
会計・財務面での専門知識を活かしたアプローチ
今回の事例を通じて、どんなに複雑なシフト管理や給与計算であっても、マスタの作成とシステム連携を適切に行うことで、勤怠管理のデジタル化は十分に可能であることがお分かり頂けたかと思います。
プロのコンサルタントを活用することで、課題を的確に把握し、業務効率化を実現するための最短ルートを見つけることができます。私たちのような会計事務所を母体とするコンサル会社は、業務フローの改善だけでなく、給与計算や会計システムとの連携といった、企業の根幹に関わる部分を深く理解しているため、的確なご提案をする事が強みです。
他のコンサル会社にはない、会計・財務面での専門知識を活かしたアプローチで、単なる効率化にとどまらない、より本質的な業務改善をお手伝い致します。
複雑なシフト管理や業務内容のデジタル化や効率化に課題を抱える企業様は、ぜひTOMAまでご相談ください。私たちの経験とノウハウを活かし、貴社に最適な解決策をご提案致します。業務改善コンサルティングサービスの詳細は以下よりご確認ください。
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